7月にブダペストで行われた「小林研一郎さんと池田理代子さんのヨーロッパツアー」で、ベートーヴェン「第九交響曲」の合唱の伴奏者として、参加させて頂くことができました。お話を頂いたときには、「私で務まるのだろうか・・・」と思いましたが、思い切って、チャレンジしてみることにしました。「第九」はベートーヴェンの交響曲の中でも有名な曲ですし、何度も聴いたことのある曲だと思っていましたが、楽譜や歌詞、オーケストラスコアを見ると、新しい発見ばかりで、合唱との練習時も、普段、ソロや室内楽での演奏の仕方とは、まるで別の技術や感覚を要求され、まだまだやらなければいけない事が沢山あることを実感しました。
 この機会を頂けたお陰で、合唱の魅力を改めて感じることが出来きましたし、そしてなによりも、小林研一郎さんのリハーサルを間近で聴けたことや、お話を伺うことが出来たことは、私の宝物となりました。とくに、心から音楽に対する熱い想いを語られる姿や、私を含め、演奏会に携わるすべての方々に対する温かい心配りには、感銘を受けました。演奏家だけではなく、多くの方々の協力があって、演奏会はなりたっていることや、常に感謝の気持ちを忘れてはならないことを学びました。その全てが、ステージの上でひとつの音楽となり、音となって聴衆の心へ響き、そして鳴り止まない拍手となることを、コンサート本番に会場で聴きながら思いました。
 今回、参加させて頂き、多くの貴重な体験をさせて頂いたことは私にとって、さらに音楽家として前に進むための大きな励みとなりました。
(香川 真澄)

 7月に、指揮者小林研一郎さん、池田理代子さんを中心とした「真夏に第九を歌う会」のヨーロッパツアーの練習でモーツァルトの「レクイエム」を伴奏させて頂く機会がありました。小林研一郎さんとオーケストラ、ソリスト、そして100人以上の合唱団との大規模の中の練習は緊張感の塊、しかし合唱団の音楽と歌を愛する姿勢から生まれた温かさが音楽をまとめていく、そんな小林研一郎さんの「レクイエム」は荘厳で、敏速な部分も繊細さがあり、1つ1つの音を大切に奏で、また作曲家の意図(モーツァルトが最後に書いた箇所の事、弟子のジェスマイヤーが補筆完成させた事)背景など、知性あふれた音楽を作り出す事を学ばせていただきました。本番はウィーンのシュテファン大聖堂で行われました。残念ながら私は足を運ぶことができませんでしたが、満席、万雷の拍手で終わったそうです。小林研一郎さんは「ゴルフの上達のため1日800球打った」と、「ドナウの四季」で読みました。私もゴルフにはまった事がありますが、一日に800球も打ったらピアノが弾けなくなってしまう量でとても真似できません。「情熱の量」「集中力」というのはこういう所でも反映されているんだとも思いました。
 このような素晴らしい演奏の機会を与えて下さった皆様に感謝しています。 あと数日で帰国となります。名残惜しい気持ちもありますが、ハンガリーでの生活は私にとってかけがえのない財産となりました。帰国後は復職となります。研鑽を積み、学んだ事を活かし後進の指導、演奏活動をしていきたいと思います。
(吉川 亜矢子)