エトヴェシュ・ロラーンド大学日本学専攻修士課程のコルモシュ・リタと申します。2015年から2016年まで大阪大学、2017年から東北大学に留学しました。大阪に留学していた時、大学から「日本の学校にボランティアとして行きませんか」というメールが届いたのがきっかけで、2016年2月下旬にボランティア活動を始めました。
私は映画でしか見たことがなかった日本の学校に行けるということで、とても楽しみにしていました。大阪では、子どもたちと英語で会話し、ハンガリーのことを少し紹介しました。初めて日本人が通う小学校に行ったので、驚くことが多かったです。例えば、廊下と校庭は壁で完全に隔てられていなかったので、廊下に出た瞬間2月の寒い風が激しく吹いていました。それでも、子どもたちは半ズボン、コートなしで校庭で遊
んでいました。それを見て、母の言葉が頭に浮かび上がってきました。私は「ちゃんと暖かい服を着なさい」とよく叱られたのです。しかし、その小学校では全員そのような制服を着なければならず、ハンガリー人と日本人の考え方は違うということに気づきました。
給食を食べることも初めてでした。小学生が白いエプロンと三角巾をつけて、互いに食事をよそってあげている姿は興味深かったです。やはり、子どもの時からクラスメイトと交代で給食を教室に持っていって、同級生に等しくわけるということを体験するのは人生で役に立つだろうし、子どもたちも楽しそうでした。ハンガリー人もこのように給食を食べられれば、どの休憩時間にどのクラスが食堂に行けばいいかという問題も解決されます。ただ、ハンガリー人みんなの心に残っている、食堂のおばさんの話ができなくなってしまいますが。
このように楽しい経験をしたので、次の留学先となった仙台でも大阪のように学校訪問があるかどうか探しました。仙台に着いてすぐに寮の掲示板で二つのチラシを見つけました。そのうちの一つのおかげで寮の近所にある高校に行けるようになりました。もう一つのチラシから、学校訪問を頻繁に主催している組織を見つけて、そこにも登録しました。大阪では大学を通して学校に行っていましたが、仙台では大学以外に友達や国際交流を求める組織からも学校訪問の要望を受けることができました。
仙台ではハンガリーを日本語で紹介するイベントが多かったのですが、英語の活動に参加することもありました。給食を生徒と一緒に食べることもあれば、食べないこともありました。仙台のいくつかの学校ではスペシャルクラスや特別クラス、マルチェンというクラスがあって、そこでは障害を持っている子どもが勉強しています。ある学校では、給食を彼らと一緒に食べました。子どもたちは最初少し緊張し恥ずかしがっていましたが、私に質問しながら、徐々に仲良くなってくれていろいろなことについて話ができました。休憩の時、紙くずを飛ばす子どももいれば、クラスメイトと遊んでいる子どももいました。休憩が終わったら、簡単な英語を覚えるためのダンスを見せてもらって、とてもいい経験ができました。楽しそうに笑っている子どもたちとハグして別れた素敵な経験を、他の人にもしてほしいという気持ちになりました。
私にとって印象に残っている、ある小学生の女の子を紹介します。英語の授業が終わって、給食の準備をしていた時、その11歳の女の子はこんなことを言いました。「私が英語を勉強して、上手くなりたいのは、ナイジェリアや他の国に行ってボランティアとして向こうの人々を手伝いたいからなんだ」。11歳で「他の人を助けてあげたい」、「だから英語がうまくなりたい」ということをまじめに考えていることに感動しました。しかも、彼女は他の同級生には何も言わないで、私だけにそれを教えてくれました。彼女が将来どうなるのかということより、このような清い心を持っていることが大事だと思いました。
私が訪れた小学校や中学校では子どもたちが活発で元気に私と話していたのに対して、高校生はもう少しおとなしくて恥ずかしがりやでした。どのような生徒に会っても、訪問者にとっておそらく最も重要なのは、クラスの様子を数分観察して、どんな活動がそのクラスに一番合うのかを素早く判断できることだと思っています。例えば、クラス全体があまり集中できない雰囲気であれば、20分ぐらいハンガリーについて話しても余り楽しくならないだろうし、踊りたくない雰囲気のクラスに無理矢理に民族舞踊を踊らせるのもよくないでしょう。つまり、少し柔軟性を持って学校を訪問するのが不可欠だと思います。
最後に、学校訪問は人生の特別な思い出になるだけではなく、英語や日本語の練習にもなるし、他の留学生と一緒に行くので他国についての知識も高めることができます。ハンガリーを紹介する上でかなり自由に活動できるというのも魅力です。ハンガリーの民謡を歌ったり、ハンガリーの民族舞踊を生徒や担任の先生と一緒に踊ったりすることも楽しいと思います。子どもが好きな方、それから日本の学校でハンガリーの様々な所を紹介したい方々におすすめします。 |