心をひとつに 坂本 華衣
 すがすがしい秋晴れのもと、第8回ブダペスト日本人学校「ふれあい大運動会」を、本年度もハンガリー日本商工会様にご支援を頂くなか開催することができました。私たち教職員は、小学部・中学部合わせて65名の児童生徒が、運動会を通じて、集団としての規律や協力することの大切さ、思いやりの心を育んでほしいと願い、一丸となって準備を進めてきました。
 今年の児童生徒会スローガンは、「努力で輝く笑顔のメダル~BJS魂ここにあり~」でした。勝っても負けても、仲間との思い出や、努力してきたことが最高のメダルになるようにとの想いが込められています。このスローガンのもと、7月の中頃から中学部が中心となり、団旗の作成、応援の選曲やダンスなどのことを話し合い、運動会成功に向けて一歩ずつ取り組みを行いました。
 夏休みが明けると、すぐに練習が始まりました。現地校のヴィラニョシュ校と共有で施設を使用しているため、限られた時間・スペースの中での練習となりました。
 小学部1年生にとっては、初めての運動会。上級生のお兄さん・お姉さんについていこうと、小さな体で一生懸命練習に臨んでいました。そして、中学部3年生にとっては、最後の運動会。悔いの残らない運動会になるように、自分たちができることは全てやろうと意気込んでいました。しかし、そんな思いとは裏腹に、全児童生徒が赤白に分かれて行う応援合戦の練習では、「思うように指示が通らない」「下級生のやる気を引き出すことができない」など、同じ方向へ引っ張っていくことの難しさを生徒自身が感じ、何度も話し合いがもたれました。自分の思いがうまく伝わらず涙を流した応援団長、真剣に自分の考えをぶつけた団員、お互いが真剣に向き合うことで、そこには絆が生まれ、よりよいものへと作り上げていくことができました。壁を一つ一つ乗り越え、日に日に心も体も成長していく子どもたちを見ながら、嬉しく感じました。
 みんなの気持ちも一つになり、いよいよ本番を迎えました。当日は、家族や来場の方々の声援を受け、児童生徒が今まで練習してきた成果を十分に発揮することができました。小学部1年生から4年生による花笠音頭では、曲に合わせて全身を大きく使って踊る児童に大きな拍手が送られました。
 また、小学部5年生から中学部3年生までによる組体操では、初めは倒立さえ難しい状況でしたが、練習を積み重ねていくうちに、「絶対成功させてやる」という強い気持ちが、目に、表情に、そして行動に表れ、本番では自分たちも満足のいく素晴らしい演技をお見せすることができました。終わった後の児童生徒の表情は、充実感と自信に満ち溢れていました。そのことが、児童の日記からもうかがうことができます。
 その他の競技においても、親子で息を合わせて大玉を転がしたり、ハンガリーの方々と一緒に勝利を喜んだり、それぞれの場面が一人ひとりの心に残るものとなりました。
 児童生徒同士のふれあい、親子のふれあい、そして他校児童をはじめハンガリー在住の方とのふれあいがあり、そこにはいつも笑顔のメダルがきらきらと輝いていました。
 最後に、運動会の開催にあたり、たくさんの方々にご尽力いただきましたこと、またがんばっている子どもたちに温かいご声援をいただきましたことに心から感謝申し上げます。

(さかもと・かえ 日本人学校)

一番うまくできた組体操 寺内 さくら(小学部6年)
「行くぞ、おお」
 みんなで円じんを組んで気合いを入れたところから組体操が始まりました。私は、円じんの時、いつも練習で言う時よりも大きな声で、
「おお」
と、さけびました。
 笛の合図がなり、走って自分の位置に立ちました。私は、倒立が一発でできるかとても心配でした。でも、足を大きくけり上げてなんとか一発で成功することができました。
 その後も、一つの演技が終わったら前を向いてぴしっと気をつけしたり、移動の時だらだら行動するのではなく自分の場所までてきぱき移動したりすることを心がけました。一、二、三人の技のところは全て完ぺきに演技することができました。いよいよ組体操の最後の大技がきました。大技では、女子の三段タワーが失敗せずにできるか少し不安でしたが、みんなで声かけをかけ合って、大技もしっかりと成功させることができました。そして、無事に組体操が終わりました。技が成功する度にお客さんが拍手をしてくれたので、良い演技ができたのだなとうれしくなりました。自分自身でも、今までで一番良い演技ができたなと思いました。
 客席にもどった時、下級生から
「すごかったね。こわくなかったの」
と、言われ、お母さんからも、
「がんばったね」
と、言ってもらえたので、ほっとしました。運動会の組体操は、赤白関係なくみんなで協力してできる競技です。いつも失敗し、こわくて友だちを信じることがなかなかできなかったけど、練習をしいていくうちに、だんだん友だちを信じることができるようになりました。この組体操を通じて得たことを、これからの学校生活でも生かしていきたいと思います。

ゴールが遠い 彦坂 日向子(小学部3年)
「長っ。」
わたしは、思ったより走るきょりが長かったので、とてもおどろきました。なぜなら、練習をしたときは、走るきょりが短くて、運動会当日も同じくらいのきょりかと思っていたからです。
 わたしは心の中で、「一番になれますように。」と言いました。
 そして、いよいよ走る番がきました。と中でぬかれそうになったけど、三人の中で一位になりたかったから、全力を出して走りました。すると、一番になれました。わたしは、ゴールテープを一番に通り過ぎるのははじめてで、とてもうれしかったです。
 ゴールした後も、大きな声で、
「がんばれ。がんばって。」
と赤組のみんなをおうえんしました。わたしは、短きょり走が大運動会の中で一番楽しみでした。だから、できるだけの大きな声でおうえんしました。おうえんをしているとき、後ろをみてみると、白組の方が多くて、
「ああ、負けちゃう。」
と小さな声で言いました。でも、負けたくないから、おうえんをつづけました。
 そして、いよいよ短きょり走のけっか発表です。わたしは、ドキドキ、ワクワクしていました。でも、けっかは、赤組が負けたので、とてもくやしいし、がっかりしました。
 でも、他のきょうぎを一生けんめいがんばりました。
かつことはできなかったけど、がんばって走って負けたなら、やる気ゼロで負けるよりはいいとおもいました。

シャン!シャン! 大野 円香(小学部3年)
「シャン。」
日本人学校オリジナルの花がさと、すずを作りました。かんせいしたとき、「ワー。」と心の中でさけびました。
 そして、いよいよ本番の日、「うまくおどれるかな。」と、ちょっと心ぱいになってきました。
「がんばるぞ。」
と、言いながら、じゅんびをしました。おどっているとき、ドキドキしました。今どういうふうに見えているのか知りたくなりました。
 いどうするとき、ちゃんとした場所に行けたので、ほっとしました。なるべく、はずみながらやりました。
 おわったあと、お父さんが、
「じょうずだったよ。」
と、ほめてくれました。とてもうれしかったです。
 家に帰って、お父さんがとってくれた写真を見ました。どういうふうにとれたのかなと、気になりました。写真を見てみると、おくれていなかったし、きびきびとできていました。
「よかった。」
と、写真を見ながらいいました。でも、「ヤッショーマカショ。」と、言うとき、もう少し大きな声を出せばよかったと、こうかいしました。それができたらかんぺきでした。花がさ音頭をかんぺきにするには、あともう少しなので、次できるときには、かんぺきなおどりにしたいと思います。
「次は、がんばろう。」
と言って、写真を見るのをやめました。
 これまで、がんばって練習してきたかいがあったなと思いました。

小学部最後の運動会 島村 岳岐(小学部6年)
「パーン。」
「ピー。
という音が会場中に響き渡りました。ぼくはこの音を聞く運動会のことを思い出します。
 短距離走のスタート前、ぼくは少し不安でした。最後まで走ることができるかなと思ったり、1位でゴールできるかなと考えたりしました。そして、5年生の最後の組が終わり、ついに自分の番が来た時、とてもどきどきしました。
「パーン」
 先生が、スタートの合図を出しました。だんだんスピードを上げていきました。しかし、まだ半分も行っていないところで足をくじいてしまいました。それでもなんとかゴールすることができ気づいたら1位でした。ゴールテープを切ったとき、ほっとしました。
 そして、いよいよ組体操が始まりました。
「ピー」
 先生が、笛で合図をだしました。組体操も失敗しないかなと不安に思っていました。しかし、1年生から4年生の児童や見に来て下さった人の前に立つと、成功させて最高の演技にしようと思い、しっかり演技に集中することができました。最初から最後まで気を抜かずに、きびきび動くことができました。ダブル倒立は、練習の時は失敗することもあったけど、本番では、一回で確実に決めることができ安心しました。ウェーブの波を速くしたり、全員ピラミッドもしっかり支えたりすることができました。
 また、3段タワーでは、中学部と一緒に一番下のところで支え持ち上げました。他の技もみんなと協力して成功させることができました。
 ぼくは、運動会で協力することの大切さとあきらめなければできるということがわかったので、これから色々なことをみんなで協力し、あきらめないようにしたいです。