私は中三の二人からたくさんのことを学んだ。ブタペスト日本人学校に来た去年は、二人をただの「格が違うクラスメイト」という認識しかなかった。私はすごいと思う人を下から見上げるような性格の人間だ。でも時が経ち、二人のことを知っていくうちにすごいという認識だけではなく、二人のようになりたい、二人に追いつきたいと思った。これは、他の人からみると当たり前のことかもしれないけれど、私は初めて思ったことだ。
 私は、日本の中学校では仲の良いグループの人とばかりつるんでいて、クラスメイトとも他のグループの人とはあまり喋ることもなく、興味もあまりなく、上っ面だけの関係で終わっていた。はたから見ると、楽しそうな会話でも、実は相手の機嫌を見て、探り合いながら話すということは日常茶飯事だった。いつでもどんな時でもグループの人と行動する、部活や委員会も仲の良い人と一緒がいいと日本の女子中学生の大半が思っていると思う。私もその中の一人だった。でもそんな私の思考をブタペスト日本人学校が、中三の二人が変えてくれた。
 私は日本の仲の良い子の中でも二、三人しか信用できる子はいなかった。どうせここに来てもそこまで信用できる友達はできないだろうと思っていたから、今まで通り「平和」にやっていこうと思っていた。でも、そんな私の描いていたフツーの中学校生活の道筋は大きく変わった。それはクラスメイトの二人が愛実ちゃんとルーキーだったからだ。
 ドナウ祭や運動会、児童生徒会の事でいろんな壁にぶつかり何度も失敗を繰り返し、嫌になってくることもあった。でもそのたびに、みんなで悩んで解決していくことで、乗り切ることができた。三人で同じ課題について考えることで相手の意見の方向性が分かり、意見交換も活発になった。授業で自分の本当の意見をそのまま言えるのも、二人が私の意見が理解できないならできないと言ってくれるからだと思う。本音でぶつかり合うことで、新しく見えてくるものもあった。このことを通して、自分の意見を言う大切さを学んだ。またこういうぶつかり合いを通して、二人が信用・信頼できる仲間になっていった。
 私は基本的にネガティブな人間だから、何かあるたびに失敗することを考えてしまい胃が痛くなる。しかし、二人は普段の授業や休み時間でも、頑張れ、大丈夫と言ってくれた。仲間が隣にいるだけで不安が無くなり、安心できた。笑顔を向けてくれると私の気分も上がった。応援してもらうたびに頑張ろうと思った。「できる!」と言われると「できるようになろう」と思うと同時に、できる気もしてきた。言葉一つで、仲間や先生の存在一つで私の思考も変わった。このことを通して、言葉の大切さ、仲間の大切さを学んだ。
 このように、私はブタペスト日本人学校の皆、そして中三の二人から、たくさんのことを学んだ。そして、愛実ちゃんとルーキーという大きな目標もできた。同じ学年で、同じ時間を過ごしている人を目標と言うのはおかしいかもしれないけど、それでも二人は、大きな目標であり、大切な仲間だ。三人とも住んでいる場所が遠いし、これから目指す場所も違うと思う。そして大人になったら、全く違う道を進んでいくことになると思う。人生の六分の一も生きていない私が言うのも変だけど、二人は一生私の目標になると思う。そして一生忘れることのない、かけがえのない人になると思う。
 ブタペスト日本人学校の皆に、先生方に、そして私の中学校生活を変え、「優しく白き手を伸べて」くれた、中三の二人に感謝をして、教えてくれたいろいろなことの大切さを忘れずに、日々、励んでいきたいと思う。
(しばた・かりん 中学部3年生)