私が補習校で教え始めて早6年が終わろうとしています。この6年を振り返っても本当に有意義な6年だったと思います。もともと日本でも子供英語会話の講師を12年近くやっており、ハンガリーに来るきっかけで仕事を辞めることになりました。大好きだった仕事を辞めてしまいましたが、こちらに来ても自分に合った講師の仕事に付けるといいなと、思いながら情報を見ていました。
 講師になりたい強い思いが届いたのか、すぐに補習校のことを知り、教えることになりました。子供たちを教える事、2か国語の学習になる事などは、私にとっては、12年の経験があったので、そう苦ではありませんでした。ただ、国語を本格的に教えるのは初めてだったので、最初の数年は、教科書をやりこなす。という考えしかありませんでした。しかし、ブタペスト日本人学校の先生方からのアドバイスや研修、経験を積むにつれ、国語の教科書をうまく使ってやっていけば良いのだとわかったのです。そして、6年目の今年2017年4月、新しいクラスが発表されました。今年は小4担当です。小4は初めての学年でしたが、今年小4になる児童は3年前に小1を担当した時のクラスで、2回目の担任となりました。昨年、一昨年と担任をされていた先生方から、いろいろクラスの状況や様子は聞いていましたが、小1から3年経ちどのように成長したのか、実際はどうなんだろう。と、とても楽しみに始業式の日を待ちました。そして、当日、担任の発表をされた時の児童のびっくりした顔が忘れられません。教室に入り、席に着き最初の授業が始まった時から、とても活気に満ちて、とても大きく成長した児童の姿を見て、とても嬉しくなりました。
 小1の頃はまず、学習体制を作るという事が目標でしたが、小4では、「自主的に学習する姿勢を作る」という目標で、自分たちで宿題の音読や漢字は進んでやってもらいたいという思いと、日本語学習がまずは好きになってもらい、いろんなことに積極的に取り組める児童、そして、クラス作りをしたいという思いで、この目標にしました。また、学習するにあたり、「好きをわかるに!わかるをできるに!」ということを常に意識しながら、授業の準備や宿題を考えてすすめていきました。毎週の宿題では、現地校の勉強に無
理の出ないように、自分たちでやれるだけの宿題を出すことを心がけ、普段は音読と漢字の学習のみに絞り、漢字テストは毎回、宿題のページをそのまま、学習意欲につなげられるように、そのページのすべてを対象にし、解答として書かれているものに出来ただけ丸を付け、丸の数の点数をつけてあげました。そして、その点数によって賞状の大きさも変え、毎週賞状を楽しみに漢字学習に積極的に取り組めるようになりました。
 また何をするにも、とても意欲的で、1時間目の音読の時間は、教室に響き渡るくらいとても元気よく音読してくれる児童。物語文では、登場人物になりきって読んでくれる児童。意見するときには、思っていることや感じたことも積極的に手を挙げ発表し、自ら進んで取り組んでくれました。今年は、「教科書をうまく使って学習していく。」という自分への目標もあったので、出てくる単元を上手に使い、「より良い話し合いをしよう」という単元で、12月に行われる学習発表会について話し合いをしました。この中でも司会者と記録、意見する者に児童自らが手を挙げて、それぞれの役割に分かれて、話し合いをしました。何をやりたいのか、どうしてそれがやりたいのかまできちんと話し合いになっており、司会者がうまくみんなの意見をまとめていました。私自身もそこまで児童が自分たちでできると思っておらず、成長した児童たちに驚きが隠せませんでした。その後、「ふるやのもり」がやりたいとい気持ちが変わらず、「ふるやのもり」をやるにあたり、自分たちが12月の本番までに何が必要なのか常に考えさせながら、通常の授業とは別に家での自主学習として児童自らの課題を与えました。
 クラスで動きを付けて練習したのは、リハーサルのみで短い時間だったため、本番を心配する声も出ていました。しかし本番では、1人1人がその役割をしっかり果たし、とてもしっかりとやり遂げました。やり終えた後の児童1人1人の達成感に満ちた素敵な笑顔は、とても輝いて見えました。今回の学習発表会を終えて、児童自らのやる気とクラス一丸となって力を合わせられた事。そして、短い時間で集中してできた事が、その素敵な笑顔と評価に現れたのだと思います。児童の力の素晴らしさにまた感動の瞬間でした。
 つい先日、日本に一時帰国し、日本の小4の国語の授業を見せていただく機会がありました。その中で感じたのは、補習校の児童生徒も日本の子供たちに負けないと思いました。また、1人1人いろんな個性を持ち、家庭環境や学習環境も違いますが、小4のクラスがまとまり、高学年に向けての目標の「自主的に学習する姿勢を作る」もほぼ達成できたと思います。まだまだ苦手な分野、クラスみんなで考えるべき課題などありますが、通常現地校で勉強しながら、でも一生懸命国語学習に取り組めていること。これは、保護者の皆様の支えがあったからだと思います。お子様の成長を一緒に見ていただき、家庭でもご協力していただき、本当にありがとうございます。そして、講師の仕事は終わりがありません。特に子供を教えているこの仕事は、日々の変化があり本当に常に勉強が必要です。児童生徒とともに自分も成長していけるように、これからも日本語学習をより楽しく学習してもらえるように、笑顔が増えるように、そして、「好きをわかるに!わかるをできるに!」を意識して、やっていきたいと思います。

(くろーく・ちはる)