先日の11月28日土曜日、みどりの丘日本語補習校にて、保護者主催のバザーが開催されました。このバザーは毎年11月に行われ、そこでの収益金は補習校の運営費として使われることになっています。
 今年もバザー係を中心に保護者が一丸となり、アイデアを出し合いながら、当日の成功に向けて力を合わせて取り組みました。補習校のバザーは、1ヶ月程前から提供品の回収や仕分け、値札付けといった準備から始まります。そして当日は、朝から会場の設定や商品の陳列、接客、後片付けまでと大変な作業となりますが、今年も保護者どうし協力し合い素晴らしいチームワークにより、大成功で幕を閉じることができました。
 バザー当日はあいにくの雪模様で客足も心配されましたが、多くのハンガリーの方々や日本の方々が補習校に足を運んでくれました。

 この補習校のバザーは、主に6つのブースに分かれて構成されています。書籍、衣類、雑貨、食品、クラフト、子供達の出店です。
 中でも子供達の出店は、小学1年生から中学3年生までと幅広く、並べられている内容も自分が使っていたオモチャや衣類だったり手作りのアクセサリーやお菓子だったりと様々で、とても興味深いものばかりでした。自分達のお店で何を売るのかというテーマから始まり、商品の陳列や接客の仕方に工夫を凝らし、友達どうしで知恵を出し合いながら、年に一度のバザーを楽しんでいました。
 実際に出店したことのある私の息子も、商品を売ることの難しさや売れた時の喜び、そして様々なお客さんとの接客の楽しさなどを知ることができ、とてもいい経験となりました。この子供達の出店は補習校バザーならではの特徴であり、私はとても面白く素晴らしい企画だと思っています。

 私自身は2年続けて食品ブースを担当しました。どら焼きやカステラやあんパン、クリスマスのデコレーションが施されたマフィンやケーキなどの保護者達の手作りお菓子や、お寿司、緑茶や麦茶などの飲み物、そして今年は新たにパンダ型のおにぎりを販売しました。なかなかこのハンガリーでは手に入らない日本のお菓子は特に、子供から大人まで大変喜ばれました。パンダ型のおにぎりはとても可愛らしく、そして懐かしく、日本にいた時の子供のお弁当を思い出しながら作りました。興味津々な顔つきで購入してくれるハンガリーの方々や、久しぶりに日本のお菓子を食べれると喜んでくれる日本の方々で、食品ブースも賑わいました。

 新たな試みとしてはクラフトのブースでも、保護者手作りの和柄の巾着やバッグ、さらには掛け軸を販売し、こちらもやはり大好評でした。日々育児や仕事で忙しいはずの保護者達も、このバザーのために出来ることを自ら考え積極的に作成してくる様子から、保護者達の溢れるパワーを感じました。
 他のブースもバザー中たくさんのお客さんに囲まれ、保護者達はハンガリー語や日本語で一生懸命に対応していました。実際に接客していた中で、日本に興味を持ってくれているハンガリーの方が年齢を問わずたくさんいること、そして日本の文化や言語を深く理解し習得されていることに、私自身とても驚かされました。

 最後にバザー係を担当した保護者からは、次のような感想を聞くことができました。「補習校保護者のボランティア精神と毎年経験することによって積み上げられてきた全体のチームワークの素晴らしさにとても感動しました。実際に来て頂いたハンガリー人のお客さんからは、毎年楽しみにしているのよ!、いいものが買えたわ!と喜んでもらえたり、中にはこのバザーの為にブダペスト市外からわざわざ来てくれた方もいて嬉しかったです。補習校の子ども達もみんながバザーを楽しめたこと、その子ども達が自らお店の売上げの一部を補習校に寄付として持って来てくれたこと、そして最初から最後まで全てに於いてとてもいい雰囲気でバザーを終えられたことが嬉しかったです」。

 現在みどりの丘日本語補習校には、日本やハンガリー以外にも様々な国籍の保護者達がいます。国籍は違っても、自分の子供が日本語を学習できるこの補習校を守り盛り上げていきたいという想いはひとつです。その保護者達の強い想いが形となり、今年のバザーの成功に繋がったのだと私は感じました。そして補習校はただ国語の学習をするだけの場ではなく、子供達や保護者全員が力を合わせて取り組むこの行事を、これから先も長く存続してくれることを願っています。

(いまむら・すみこ)