すっかり冷え込むようになった11月の土曜日に毎年恒例の補習校バザーが開催されました。補習校で子供の行事は入学式、始業式、卒業式、遠足、学習発表会、かるた大会など年に何度かありますが、保護者が主役になって行う行事はバザーのみです。いつも子供のサポート役の保護者の方たちもバザーでは主役になってそれぞれの持ち場につきます。会場は補習校にある大きなホールで行われますが、雑貨、衣類、書籍、食品、子供ブースに区分されています。雑貨、衣類、書籍などは土曜日ごとに前もって補習校の方へ各自持ちより、その場で区分、整頓、値付けがされていきます。バザーとはいえ、新しいものがあったり、数回しか使用してないようなものも多く集まってきます。
 私も日々思うのですが特に子供のものなど、必要なので購入しますが、余り使用せず、状態の良いままで家に置いてあるものがあるものです。人から頂いたもの、自分で選んで購入したものなど様々ですが、それぞれ思い入れがあり簡単に処分することができないで家に置いてあるものが結構あります。  私もある日の休日に思い切ってこの機会に子供の衣類、おもちゃの整理をし、次の方に使っていただければいいなあと思い補習校へ持って行きました。今年の衣料、書籍の販売方法は新しい工夫がされ、一点ずつ購入するのではなく、まず袋を購入していただいてその袋に詰め放題という新しい販売方法になりました。これは売り手には値付けの不要、購入時のお金のやり取りがスムーズになる、買い手の方も値段を確認しなくて良い、詰め放題という楽しみがプラスされ、さらに売れ残りを減らすこともできるのではないかというとても良いアイデアです。購入方法が変わったことで、お客様に説明をしている姿は何度か見かけましたが、皆さんスムーズに買い物を楽しいんでいるようにみえました。
 私は昨年と同様、食品ブースの担当をさせてていただいました。朝にお米を炊いて、渡された寿司のもとを混ぜて娘を送った後に会場へ向かいました。事情があり少し遅れて参加したのですが、すでに皆さんエプロン姿で作業準備に取り掛かっているようでした。昨年もそうだったのですが、皆さんと食品の準備をする作業と、販売が結構楽しいものです。私は娘の送り迎えを夫に頼んでいるため、補習校で保護者の方々とお話をする機会も少なく未だに児童と保護者の顔が一致しないことがあります。送り迎えだけで保護者の方と知り合うきっかけがない方や、一年生の保護者の方などにはバザーに参加することで他の保護者の方々とお話しできる良い機会でもあります。
 私も早速エプロンをして、稲荷寿司のお手伝いをしました。稲荷寿司を作ったのは何年ぶりだろうと思いながら、皆さんとの会話を楽しみながら準備ができました。同じ補習校の親同士ではありますが、ハンガリー人の旦那さんがある方、旦那さんがハンガリー人ではない方、両親とも日本人の方など皆さんそれぞれ状況が違うので話を聞いていて勉強になることが多いです。
 今回の食品ブースではハンガリー日清様より沢山のインスタントラーメンと、焼きそばのご協力があり、食品ブースで販売させていただきました。セットでオリジナルのお箸も提供して頂き、大盛況のうちにすべて完売することができました。補習校のバザーということもあり主に日本食を中心に販売をしています。毎年販売しているお寿司もやはり人気で早いうちに完売となりました。面白いことに、お寿司についている、お醤油、ワサビも最後には購入したいという方があり、値段をつけると売れてしまいます。昨年も同様のことがありましたのでここでは普通のことのようです。また日本らしいスイーツとして抹茶を使った御菓子も沢山用意されています。これらは保護者の方々からの協力で、自宅で焼いて来てくださって当日販売しています。御菓子もラッピングも見栄えがよく皆さん本当にお上手です。私も抹茶の御菓子をいくつか購入して味見をさせていただきました。抹茶はこちらではなかなか手に入りにくいものですので、バザー係の方が日本に一時帰国した際にバザーの為に購入し其れを使用して御菓子に使用したということです。抹茶の御菓子は日本の方には貴重なこともあり人気ですが、地元の皆さんも好んで購入されていました。
 バザーの開催から瞬く間に売れていく食品ですが、私が販売担当していた、水、お茶、コーヒーは残念ながら売れ行きが思わしくありませんでした。ただ後半には段々と売れ始めたので、お買い物が済んだ後で飲み物を購入されているようでした。  そろそろ会場を閉める時間が近づき、片づけをはじめていたころ出口付近の階段で大きな荷物を二つ持ったハンガリーの年配の女性の方を見かけました。後ろから階段をついて上がっていた私は思わず「荷物をお手伝いしましょうか?」と声をかけるくらい大きな荷物を持ってゆっくり階段を上っています。荷物をお持ちし、「沢山買っていただいたのですね!」とたずねたところ「実は毎年楽しみにしているのよ。」と満面の笑顔での返事でした。昔はピアノの演奏をされていたとのことで1970年代以来の日本人のお友達がいらっしゃるとのこと。お友達は素晴らしい声の持ち主で、オペラ歌手をされているとのことでした。今は年齢もあり行き来をすることも少なくなってしまったとのことですが、手紙でのやり取りは今でも続いているという素敵なお話をしていただきました。日本人の友人がいることもあり、補習校のバザーは毎年楽しみに参加していただいているとのことでした。
 荷物をお持ちして門のところまでお送りし、「また来年もお待ちしています」といってお別れをしました。バザーで思わぬ出会いもあるものだなあと感心してしまいました。その後持ち場にもどり片付け、掃除、すべて済んだ後は会計報告があり終了となりました。私は参加二度目のため、昨年と比較することしかできませんが、皆さんの新しいアイデアの甲斐があり昨年よりも良いものになった印象をうけました。今後もアイデアを出し合い更に良いものにな
っていくように私も協力できたらと思います。
(おかもと・さとこ)