日本語広場は、基本的に月2回、補習校のある日に同じ場所で行われています。現在、1歳前後から就学前の二重国籍のお子さん達が、平均で10人前後、みんなで一緒に楽しく日本語で遊んでいます。
 「日本語で遊ぶ」が目的の日本語広場。毎回、四季折々の日本の文化風習を取り入れ、楽しく遊べるプログラムを考えています。どのように遊んでいるのか、ご紹介いたします。  最初は、その日参加してくれた子供たち全員の名前を呼ぶこと。友達の名前を覚えるのにも役立っています。手拍子を交えた簡単な歌で、呼ばれた子にも歌ってもらいます。恥ずかしくなって歌えなくても当たり前で問題なし。その場合、私達係りの者が一緒に歌ったり、ご両親が代わりに歌うこともあります。
 次に、日本語の歌を歌います。季節に合わせた簡単な歌をみんなで一緒に歌います。知らない歌でも、一緒に練習して、最後には歌えるようになった歌もありました。クリスマスには「ジングルベル」を練習して、最後にはみんなで歌えるようになってくれました。また、「ひらいたひらいた」や「森の音楽家」を、体を動かしながら歌うこともあります。そのうち「はないちもんめ」のような歌遊びも練習しようと思っています。手遊び歌をすることもあります。「大きな栗の木の下で」、「グーチョキパーで何作ろう」、「茶々壺」などはよく知られている手遊び歌です。
 それから、絵を使い、単語の練習をすることもあります。これはみんな大好きで、いつもとても元気よく答えてくれます。大抵、大きなお子さんが先に答えてしまいますが、小さなお子さんも頑張って答えてくれています。
 アクティブに歌いおしゃべりした後は、絵本や紙芝居のお話を聞く静かな時間が続きます。毎回違う絵本や紙芝居を1~2冊読み聞かせます。小さいお子さんにも大きなお子さんも楽しめる絵本や紙芝居を選ぶよう心がけています。全員最後まで静かに座って聞いてくれます。昔話には難しい言葉や言い回しが出てくることもあります。その場合、簡単な言葉に直して理解できるように努力しています。挿絵を指差して、それが何かと尋ねたり、どんなふうに使うか説明してもらったり、子供たちに参加してもらい、声を出して日本語で話したり説明してもらったりします。
 毎回最後には、工作をやります。日本の行事や季節に因んだもので、簡単に作れる物を計画しています。1人で最後まで集中して作り上げる大きな子供たち、ご両親と一緒に初めて使うはさみと悪戦苦闘しながらも楽しく工作している小さな子供たちとさまざまです。出来上がった作品は、みんなに鑑賞します。子供達が作る作品なので、手軽に家に持ち帰れて、部屋に飾れる物をと、いつも工作内容を考えています。今年の春は桜の木のちぎり絵でした。みんな自分の描いた木にピンクの紙をちぎって貼り、綺麗な桜の花を一生懸命たくさん咲かせてくれました。嬉しそうにお互いに見せ合ったりする姿を見ると、私達もとても嬉しくなり、次回の工作を考える励みになります。
 だいたいこのような内容です。基本的にお部屋の中で広場が開かれますが、お天気の良い日など、校庭に出れる時は、色鬼やだるまさんがころんだなど、外遊びも計画しています。
 日本語広場に参加している子供たちは、平日は現地の保育園や幼稚園に通っています。同年齢のハンガリー人のお友達と遊びながら学ぶ言葉の上達の早さというのは、驚くほどです。私の息子を例にしますと、現地の幼稚園に通い始めて数ヶ月の間に、あっという間に日本語がハンガリー語に抜かされてしまいました。幼稚園に通うまでの3年間、私といる時間が圧倒的に長かったせいもあり、日本語の理解力の方が高かったのにもかかわらずです。遊びの中で学ぶものの方が、子供たちの中に強く残るもだと実感させられました。この経験を踏まえ授業内容を計画しているのですが、毎月2回1時間足らず広場は短い時間です。でも、手遊び歌のように、この広場で初めて聞いたものが今では大好きになり、リクエストするくらいに子供たちのなかに残っているものもあります。たとえ少ない時間であっても、子供たちが興味を持って取り組むものであれば、子供の記憶に残ることを教えられました。
 それからもう一つ、日本語広場で子供達と接していて感じたことは、日本語の能力似違いがあっても、共通して「日本の好きな物がある」ということ。それは絵本であったり、アニメのキャラクターであったり、乗り物であったり、食べ物であったり、場所であったりとさまざまですが、その「日本の好きな物」を利用し、これからもっと日本語を覚えていってもらえるように、広場の内容を工夫していく必要があると考えています。
 日本の行事、わらべうたなど、素晴らしい日本の文化がたくさんあると思います。
 今年の春にたくさんの子供達が幼児サークル、日本語広場を卒業したので、参加する子供達の人数が少し減ってしまいました。日本語広場は、お子さんの日本語能力に関係なく誰でも参加できます。普段インターナショナルの幼稚園に通っている日本人のお子さんでももちろん参加できます。みんなで日本の言葉と文化にふれあいながら一緒に遊び、新しいお友達を見つけることもできるのではないでしょうか。
 興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。見学されたい方も、もちろんお待ちしています。

(ヴァシュ・ あい 、エレク・あや)