私がELTE大学日本学科に入学してから日本語スピーチコンテストのことが何度も話題に出ましたが、私が優勝して日本に行くとは思ってもいませんでした。ところが、3年生になってこれが最後の機会なのかもしれないと思い、何も期待せずに2013年3月の第20回日本語スピーチコンテストに出場しました。そのおかげで去年の秋は人生で初めて日本に行けました。今でも夢のようです。 航空券をもらったとき、頭の中にいろいろなことが浮かびました。まず、今まで手伝ってくれた先生たちに感謝を伝えたい、それから挑戦してみてよかったということです。「いつ日本に行こうかな」、「日本では何をしようかな」と、たくさんのことを考え始めました。そしてやっと、11月に2週間、旅行することに決めました。 ちょっとだけ緊張して成田行きの飛行機に乗りました。大陸間の飛行機に乗ったことがなかったし、迷ったらどうしようと心配しましたが、私のスピーチコンテストでのテーマは「物は試し」でしたから、心配や問題を一瞬で乗り越えて旅行の日々を過ごそうと決めました。 知人から、「日本人は親切だとよく言われていますが、本当はそうではないですよ」、「東京は電車がとても複雑だけど大丈夫ですか」、「日本料理は魚ばかりで、私が日本にいたときはマクドナルドでしか食べませんでした」などと言われて、期待を少し低くしましたが、高校のときから日本について多くの本を読み、日本に留学したことがある友達の話も聞いていたので、カルチャーショックはあまり起こりませんでした。自分の目で経験することと、話だけで聞くことはずいぶん違いました。
ある日、宿泊場所の周りを歩いていた時、雨が降り始め、コートの頭巾をかぶって歩き続けました。似たような狭い道がたくさんありましたから、ちょっと迷ってしまい、花屋さんに道を聞きました。道順がわかってお店を出た後、花屋さんに止められました。「ぬれてしまうから、これをもらってください」と傘を私にくださったのです。また、ホステルから友達の家に移る前に毛布を買いたかったのですが、どこに行ったらいいかわからなくて、駅の前で人に聞いてみました。店の方向を教えてくれただけでも十分なのに、店まで案内してくれました。 雨の中で私を追いかけてきてくれた花屋さん、遠いお店まで案内してくれた人。日本人は親切でなくてなんだろうと考えざるを得ません。
東京は見るべきところが多すぎて、2週間では足りません。上野公園の動物園や国立博物館、渋谷のハチ公の像や有名な交差点、浅草寺、スカイツリーなどを見られてとてもよかったです。そして、日本に留学している友達や日本に帰国した先生に会えたのもとても嬉しかったです。そのおかげで一人では絶対行けなかった場所にも行けました。明治時代から経営されている「米久」でスキヤキを食べたことや、別の日に韓国料理を食べた後、ゴールデン街の小さいお店で日本人の学生たちと話し合ったことが、とてもいい思い出です。 新大久保で韓国料理を食べて、歌舞伎町を通ってゴールデン街へ行った晩、日本の深さを感じました。賑やかでネオンサインが多く、夜でも昼みたいに明るい歌舞伎町と、非常に狭い道や小さいお店だらけのゴールデン街のコントラストが印象に残りました。次の日、原宿の竹下通りから明治神宮に行ったときも同じようなコントラストを感じました。週末の竹下通りは華やかで変わった服装の人々が集まっていました。たった一分ぐらいで代々木公園に着きました。全く田舎の森を歩いているように思いました。あんなに賑やかな場所のすぐ隣にこんなに静かな公園があるなんて信じられません。しかも、明治神宮まで歩いていくにつれてだんだん暗く寒くなって、東京にいることすらすっかり忘れてしまいました。明治神宮には七五三が近かったので、衣装を着た子供と家族も多く、偶然にも、伝統的な結婚式も見られました。原宿駅に戻ってその日のことを振り返り、東京の深さに改めて圧倒されました。 次の日、午後8時ごろにスカイツリーにたどり着きました。2~3時間待たなくてはならないと聞いていましたが、そのときは改札口の明かりが消えていて、一分ぐらいで切符を買えました。クリスマスイルミネーションがついたスカイツリー自体も見事でしたが、350メートルの高さから見た東京の夜景は本当に素晴らしかったです。それまで、電車などを使ってどこでも30分ぐらいで着きましたから、東京の圧倒的な大きさを感じたのはそのときが初めてでした。もっと高い450メートルまでも上りましたが、もう暗かったせいかもしれませんが、350メートルからの景色のほうがいいと思いました。 この旅行は全てにおいて貴重な経験でした。自分で経験することと、本で読んだり授業で学んだりすることは全然違うので、留学することは誰にとっても想像以上に大切なことだと思います。私はいつか日本に留学できるといいなと思っていたのですが、この2週間で高校のときに描いた夢をこれからも追いかけたいという気持ちが強くなりました。この旅行の機会を与えてくださった先生たち、日本語スピーチコンテスト実行委員会の皆様、JALとJTBを初めとするスポンサーの皆様に感謝を申し上げます。
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