ブダペスト日本人学校中学部では、現地校との交流学習を行なっています。ヴァーロッシュマイヨール高校(以下VM校)のユーリア先生は日本語を熱心に指導され、毎年彼女が受け持つクラスと中学部が文化交流を行なっています。昨年12月には「年末年始の挨拶」をテーマに、日本人学校生徒は年賀状の書き方を、VM校生徒はクリスマスカードの書き方を互いに教え合う交流会を持ちました。
 当日、VM校のみなさんは私たちを迎えるために、クリスマスに食べられる芥子のケーキやクッキーも準備してくれました。ラッピングは庭に生えている葉を添えてリボンで一つ一つ丁寧にくるんでありました。ハンガリーの家庭では、家族で一緒にケーキを焼いたり料理をしたりして過ごすのが一般的だそうです。手作りを重んじるハンガリーの温かな生活から、時間がない、時間がないと毎年パソコンに頼り切り年末年始の挨拶をちゃっちゃと済ませている私の生活がなんと薄っぺらいものなんだろう、これでいいのかと考えさせられる出来事でした。生徒達はどう感じ取っていたでしょうか。そんな中、互いの自己紹介が始まりました。
 緊張と期待が入り混じる表情を見せていた生徒たちはVM校のペアと顔を会わせると、緊張もほぐれようで自分たちのペースでやり取りを始めました。分からない単語があれば英語も駆使して意思疎通を図るやる気のあるペアや、聞き慣れない名前に果たしてそれが名前なのかどうか分からず、互いに戸惑っているペアもありました。しかし準備していなかったことに出くわしてもなんとかしようとする姿勢がどの生徒からも感じられました。
 今回の柱は、カードに書く挨拶文の書き方、住所の書き方を伝え合い、互いの文化理解を深めるということでした。しかしそれだけでなく、交流学習はどんな場面に出くわしても臨機応変に「伝える」、「理解する」方法を考え表現する力を育むと考えます。慣れない言語を用いて四苦八苦し、げっそりと疲労感を覚える生徒ももちろんいます。しかしそれは懸命に「伝えよう」と誠心誠意で相手と接している証だと思います。そんな懸命な生徒達を見て、日本ではまたとない「生きた勉強」を今後も継続していきたいと考えます。

(なかの・えりか 教諭)