4年に1度の世界を巻き込むスポーツの祭典、オリンピックを来年に控え、「五輪熱」が徐々に高まってきているように感じます。スポーツ好きのハンガリーでは、メダルの期待がかかるカヤック・カヌー、フェンシング、陸上・投てき競技、柔道、レスリング、競泳などに注目が集まっています。
 そして、忘れてならないのが水球です。2000年のシドニー大会から、アテネ、北京と3連覇を成し遂げている男子のナショナルチーム。夏季大会、チーム競技史上初となる4連覇に大きな期待がかかります。
 しかしながら、その道程は決して楽観視できるものではありません。ここ数年の主要な国際大会では、2010年のヨーロッパ選手権4位、2011年の世界選手権においても4位と、メダルすら逃している状況なのです。
 12年間何人ものメンバーが入れ替わる中で、活躍し続け3連覇を成し遂げた選手は6人います。彼らはまだ現役でありながら、既に伝説の選手と呼ばれています。
 なかでも、キャプテンを務めていたベネデック選手は、チームの精神的な柱でした。彼は北京五輪を最後に代表チームから退いています。柱を失い、結果が出ていないチームを、12年間チームを率いてきた名将ケメーニ・デーネシュ監督がどう立て直していくのか。それが前人未到の偉業達成への鍵となるでしょう。

 日本代表チームは1984年のロサンゼルス大会以来、オリンピック出場が遠のいています。ですが、今回その壁を打破しようと、日本水球は強化を推し進めてきました。
 最後のオリンピック挑戦は、2004年のアテネオリンピックに向けたアジア予選。カザフスタンで行われ、決勝まで進みましたが、地元カザフに2点差で敗れ切符を逃してしまいました。
 その当時、若手のメンバーとして出場していた私たちに、ベテラン選手が試合後の夜に、「あとは頼むぞ、がんばってくれよ」と声をかけてくれました。日本では、水球を続けたくともプロリーグがあるわけではなく、泣く泣く競技を引退してきた才能あふれる選手がたくさんいます。職場に頭を下げ、嫌な顔をされながら仕事をぬけ、合宿や遠征に参加し、水球オリンピック出場に懸けてきたベテラン選手たちの言葉は、今でもずっと胸に焼き付いています。
 その後、順調に進んできたかというと、決してそうではありません。オリンピックが最も注目される水球ですが、北京五輪では実力が不充分とされ日本の連盟が予選不参加を決定。それを知った社会人選手の中には、引退を決めた人たちが多数いました。また、外人コーチを招聘しては、文化や言葉の違いを乗り越えることが出来ず、長期的な強化には繋がりませんでした。
 そんな中でも、あきらめずにヨーロッパ・プロリーグでの武者修行を続けた選手や、また別の選手は本格的な社会人チームの発足に奔走して実行し、それらに引きつけられた若手選手は国内でのレベルアップに励み、結果的にその3つがうまく絡み合い強化され、今年の夏に行われた世界選手権では過去最高の11位の成績を収めました。また大学生のオリンピック、ユニバーシアードではハンガリーやイタリアなどの強豪国から勝利を収めるなど、今年に入って目覚ましい成果を挙げています。
 ずっと結果が出せない中でも、支援を続けてきて下さった方々や、応援し続けてきて下さった方々もたくさんおり、みんなの力が混ざり合って、日本の水球界が一丸となって、ロンドンオリンピックの出場を勝ち取ろうとしています。
 世界選手権11位はアジア最上位です。アジアでは五輪出場枠が一つなので、現時点で日本がオリンピックに最も近い位置にいることになります。2012年1月に千葉で行われるアジア選手権兼オリンピック予選で優勝し、目標としてきた五輪出場を是が非でも達成したいと思います。
 ぜひご親戚やご友人の方にも宣伝して頂き、多くの応援よろしくお願いします!読んで頂きありがとうございました。

* ロンドン五輪アジア地区予選 1/24~27千葉県国際総合水泳場
詳細はポセイドンジャパンHPにて(http://poseidonjapan.net/)

(ながぬま・あつし)