マラソンの魅力
西岡 健児

 本年度は、5月に行われる予定だった女子マラソンが中止になったものの、日本人学校関係者から4月19日のT-Homeマラソン大会に52名。K&Hリレーマラソンに、19チームの57名が参加しました。昨年度は、女子マラソンに参加したのが25名、K&Hリレーマラソンに参加したのが36名でした。児童生徒の参加者だけでなく、保護者・教員も積極的に参加し、年々参加者が増え続けています。
 では、参加者が増え続けているマラソン大会の魅力とは何なのでしょうか。
 私は、昨年度K&Hマラソンに初めて参加しました。それまでブダペストのことを知る余裕もありませんでした。しかし、このK&Hリレーマラソンに参加し、王宮・ドナウ河・国会議事堂を見ながら走ることができたことはもちろん、あいさつ程度しか覚えていなかったハンガリー語でしたが、言葉は関係なくゴールに向かってたくさんの「人」とともに走ることができたことが嬉しかったのを覚えています。
 そして本年度、私は7kmのリレーマラソンに参加しました。昨年度の2.1kmよりも4.9kmも長い距離でしたが、日本人学校の児童生徒や保護者の皆様が頑張っているので、私もレベルを上げてチャレンジしようと決意しました。当日は、すごく暑い大会でしたが、「人」と「人」が声をかけ合い頑張っています。私もK&Hマラソンは2回目だという心のゆとりがあったからでしょうか、たくさんの人と「ホイラー」と声をかけ合いゴールに向かって走ることができました。最後には、「ヤパン、イシュコラー!!」とアナウンスしてもらったことも思い出に残っています。その後、前後に走っていた人たちと握手をし、お互いの頑張りを称え合いました。
 スポーツには「人」と「人」を結びつける力があります。どんな試合で争っても試合が終われば一緒に語り合える仲間になります。マラソンも同じことだと思います。競い合っても最後には笑顔で頑張りを称え合います。これからも更に多くの方にマラソンを楽しんでもらいたいと思います。

 
 

マラソンとの出会い
久世 優美子

 私がこの街にきて、もう3年と3カ月になる。あっという間だった3年間には、大切な出会いがあふれている。たくさんの「初めて」があふれている。そして、マラソンとの出会いもその一つだ。
 私がマラソン大会に初めて出場したのは、2年前の5月。6年生の時の担任の先生がとてもマラソン好きで、中1の春に強くマラソンを勧めてくださった。このマラソン大会に出場したことが、私を大きく成長させるきっかけとなった。そして、その後の2年間に私は女子マラソンの大会に何度も出場してきた。
 しかし、今年の春に初めて出場した男女マラソンでは、正直気疲れしてしまった。今までに見たことのないほどの人の数。走っているというより、流されているような気分だった。何より、楽しくなかった。そしてもう二度と男女マラソンには参加したくないと思っていた。
 ところが、今回の男女リレーマラソンは私のマラソンに対するイメージを大きく覆した。今回は初めて走るコースだったものの、距離が長くなかったので不安はなかった。それに、人が少なかったのでゆったりと気を楽にして走れたのがよかった。これまでの私は、マラソンはスポーツ競技だというイメージでタイムを気にして走っていたが、今回は町並みや景色を楽しみながら走ることができたのだ。そして、何より初めて知ったことがあった。
 これまで私は、ブダペストという街についてよく知っているつもりだった。観光としても、学習としても、たくさんの場所へ行ったことがあったからだ。しかし、それは知識としてだけの街だったのだ。今回のマラソンで私が出会った街は、もっと身近で人々が暮らしている街だった。人々が日々生活する街だった。だけど、それは私にとっては初めて見たブダペストの姿だった。私はそんな街の姿にとても感動した。
 私はこれからも走り続けたい。この町でも、次の街でも。そうして、またあの感動に浸りたい。言葉で表すことができないほどの、あの感動に。
 走ること・・・、それは本当の街と出会う一つの手段なのだ。