去る11月25日土曜日に補習校恒例のバザーが行われた。バザーは保護者にとって1年のうちの一大イベントで、数か月かけて準備を重ねていっている。小学1年生のわが息子にとって、そして私にとっても初めてのバザーだった。出品するものは、家庭で不要となった衣類・雑貨・日本語書籍、日本食を中心とした食品、保護者手作りのクラフト品である。
 「これはいいね」、と感心したことは、保護者によって設けられた出品の他に、「子どもブース」と名付けられた
補習校児童・生徒による出店が設けられていることだ。不要となったおもちゃや雑貨などを出品して自分の店を出し、自分で店番をしてお客さんからお金をいただく。そして売上金の一部を補習校に寄付するかどうか、いくら寄付するか、を自分で決める。つまり、企画から出店準備、会計まですべて子どもたちが主体となり自主的に行う。最近は子どもの職業体験型アミューズメント施設、あるいは職業体験イベントが人気だったりするが、そんなのにわざわざ行かなくても実際にちょっとした職業体験ができる、という点で子どもたちにとってとても良い機会であると思う。
 当日私は食品ブース担当だったのでここでは食品販売がどのようであったか紹介したい。今年はお寿司、お稲荷さん、おにぎり、抹茶味を中心とした焼き菓子、そして即席麺を販売した(即席麺はハンガリー日清様からご提供いただきました、ここに謹んでお礼申し上げます)。ほとんどは保護者の手作りである。ハンガリーで手に入りにくい材料は食品ブースリーダーが日本から調達してきてくれた。多くの保護者が手作り品を提供してくれて当日食品テーブルが華やかになったのもつかの間、開場後わずか30分でお寿司・お稲荷さん・おにぎりは完売となった。そして閉場前にはすべての食品が売り切れた。お客さんは在留邦人のみならず、大学で日本語を学んでいる大学生、日本カフェの経営者、といったハンガリー人も多数で、日本食に対する大きな興味や関心を実感した。
 実は補習校バザーの一か月ほど前に我が家の子どもたちが平日通うブリティッシュスクールでインターナショナルフードコートなるものがあり、保護者が自国の食べ物を用意して国ごとのテーブルにて全校児童・生徒と教職員にふるまうイベントがあった。日本テーブルは3人しかいない日本人ママががんばってのり巻き・お好み焼き、抹茶クッキーを百単位でたくさん作っていったが、ひとつ残らずすべて無くなってしまった。テーブルがまっさらになっていたのはみたところ日本テーブルだけであったようだ。大概の子どもたちはみんな「Sushi!」と叫んでのり巻きを取っていき、ある小学生は何度も繰り返しテーブルに来て何個ものり巻きを食べ、ある中学生の女の子は「日本大好きです」と日本語ではにかみながら言って抹茶クッキーを取っていった。「これは何?どうやって食べるの?」とお好み焼きのことを熱心に聞いてくる教職員もいた。
 このように、日本食の人気を実感する機会に多く触れることができたのは私にとって幸せであり、補習校バザーに参加できたのは貴重な体験だった。さて、我が息子はどうだったかというと、先に紹介した子どもブースに「参加する?」と聞いてみたのだが、「わからない」と。そもそもバザーというものに参加したことがなく、それがなんたるものかがよくわかっていなかったので説明して、子どもブースではいらなくなったおもちゃとかを売って・・・、という話をしたら「おもちゃはみんないる。やらない」と明言。子どもブースは来年以降に、とあきらめて、当日に食品ブースで品出しやお金のやりとりを手伝わせた。楽しかったようだ。
 ちょうど補習校バザーの一週間後にブリティッシュスクールでクリスマスフェアーがあり、息子の学年は授業中にみんなでクッキーを作ってそれをクリスマスフェアーで売って収益金を孤児院に寄付する、という企画をしていた。フェアー当日にクッキーを販売するボランティアを募っていたので、また販売お手伝いをするちょうどいい機会と手を挙げた。当日10時開場、我々の販売担当時間は11時30分、その時間に到着してみたらクッキーは3袋しか残っていなかった。息子のために1袋買って、隣にいた人が残りを買って完売、我々の販売のお仕事はそこで無しに。
 息子の活躍は来年に期待しよう。
(ふじおか・まりこ)