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ハンガリー語を学ぶ
大阪大学外国語学部ハンガリー語専攻
青木 暖
「ハンガリー語専攻でハンガリー語を勉強しています。」日本でもハンガリーでも、そういうと必ず“Miert? (なぜ?)”と聞かれます。そう聞きたくなるくらい、珍しい言語を勉強することになったのは偶然でした。
最初に自己紹介を。私は大阪大学外国語学部ハンガリー語専攻に所属していて、今はエトヴェシュ・ロラーンド大学でハンガリー語を勉強しています。私の最初のハンガリーとの出会いは、高校生の時でした。親の仕事の都合で3年間ハンガリーに住むことになったのです。高校の3年間をハンガリーで過ごしたといっても、インターナショナルスクールに通って英語で勉強をしていました。日常生活でも友達と会話するときでも、英語を使っていました。確かに、グローバル化の影響で今英語は世界共通語になっていると思います。ハンガリーでも英語を使って生活することはできました。まだまだ言葉が通じない場所や人もあったけど、基本的に親切であたたかいハンガリー人のおかげで英語だけで不自由することなく生活していけていました。高校3年間は本当に楽しく充実したもので、ハンガリーは私の大好きな場所になりました。
けど本当にこれでいいのだろうか?という思いが心の中にありました。日本に帰国して、友達にハンガリーのことをいろいろ聞かれました。どんな国だったのか、どんな言語を話すのか…。その時、ガイドブックに載っているような表面的なことしか答えられなかった自分にショックを受けました。自分の住んでいた、大好きだと思っていた場所のことや言語を何も知らなかったことに後悔しました。そんな時に大阪大学外国語学部にハンガリー語専攻があることを知りました。そこで、ハンガリーについて学ぶことを決めたのです。
2回目のハンガリー滞在である今回の留学では、ハンガリーは高校生のころと全く違って見えました。昔は、ぼーっと眺めていただけの風景もキラキラ輝いていて、1つ1つがとても魅力的でした。大好きなハンガリーがもっと好きになりました。ハンガリー語で話すと、ハンガリーの人たちはとても驚いて、でも私のつたないハンガリー語を理解しようとしてくれました。英語でもコミュニケーションは取れるでしょう。けど現地の言葉を使ってコミュニケーションをとることが、こんなにも距離を縮めてくれるなんて思いもしていませんでした。でも、授業も日常生活もハンガリー語を使って生活することは思っていた以上に難しいことでした。同じクラスにいるポーランド人の生徒たちはみんなハンガリー語が上手く、最初のころは先生の質問の意味が分かったころには、もうポーランド人の生徒たちが答えてしまったあとだったりして悔しい思いをしました。
友達とハンガリー語を話していても、うまく伝えられなかったり聞き取れなかったりもして、何度も落ち込みました。けど、あきらめずに毎日ハンガリー語に触れるようにしていると少しずつ聞き取れる言葉が増えていき、「1か月前よりうまくなったね。」と友達に言われた時はとてもうれしかったです。
また、留学先の大学での授業は毎日あるわけではなく自由な時間がたくさんありました。最初のころは、せっかく留学に来ているのにこれでいいのだろうかと不安でした。でもこれをチャンスだと考えることにしました。せっかくの自由時間をやりたいことを全部するための時間にしようと決めたのです。私は合唱が大好きでハンガリーが合唱大国と聞いて合唱団に参加したいと考えていました。なので、現地の人たちの合唱団に入れてもらって毎週一緒に練習に通うことにしました。ハンガリー刺繍もやってみたかったので、ハンガリーのおばあちゃんたちに刺繍を習うことにしました。合唱も刺繍もハンガリー語だけを使ってコミュニケーションをとっています。最初はうまくいかないこともたくさんありました。今でも100%すべてわかっているとは言い切れません。けど、合唱団で出会った友達とは、飲みに行ったり出かけたりと合唱以外でも仲良くしています。現地の言葉でコミュニケーションを取っているからこそ得られている経験だと思っています。
ハンガリーでの留学はあっという間でした。留学を支えてくれた人たち、ハンガリーで出会えた人たちに感謝の気持ちでいっぱいです。留学生活も残りわずか。くいのないように全力で楽しんで、しっかり学びたいと思います。
(あおき・のどか)
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Web editorial office in Donau 4 Seasons.