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ブダペストに来て5年
リスト音楽院大学院 ヴァイオリン科
上杉 典子 |
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今年6月にBA課程を卒業し、この秋からMA課程に在学しています。学部に入学した頃は慣れない英語での専門的な授業や意思表示の難しさに焦りや不安の連続で、後悔することもありました。それでも週2回の実技レッスンでの熱心な指導だけでなく、充実した室内楽のレッスンを受けるうちに、いつしかそんな感情も無くなっていました。とくに室内楽との出会いは私自身の音楽に対する視野を広げる大きなきっかけになりました。素晴らしい先生方とのレッスンで心から音を楽しむという、音楽本来の楽しさを味わい、友人たちと意見を出し合いながらひとつの音楽を作っていく演奏する楽しさも知り、かけがえのない友人たちもできました。学期末にはクラスコンサートがあり、演奏する機会がたくさんあります。緊張した中で演奏することは、日常のレッスンや練習などでは気づかない自分自身の弱点や課題がたくさん見つかり、毎回とても勉強になっています。ハンガリー人の演奏を聴いて私が1番驚いたことは、自分の音楽を自由に表現し、それぞれが本番を楽しんでいることです。これは今までの私には無かった感覚でした。
レッスンや音楽史などの授業で勉強したハンガリーの作曲家のオペラを、実際にオペラ座で鑑賞したり、著名な演奏家のコンサートを気軽に行ったりするなど、より一層充実した学校生活を送っています。 |
生活にも慣れた頃から、ハンガリー以外の国にも行くようになりました。ウィーンやプラハなどで実際にウィーンフィルやチェコフィルのコンサートへ行き、建造物や絵画をたくさん見ることで、今まで映像や写真などでしか見ることのなかったものを生で感じることの素晴らしさに気づかされました。このような経験は私自身のかけがえのないものとなっています。
ブダペストに来て5年が経ちました。来た当時はまだ10代で留学することの意味など全く分からず、自分の意思というよりも両親の勧めで留学しました。一人で生活することに慣れるまで大変でしたが、友人たちに本当に助けられました。毎日の生活の中で友人たちと、音楽や学校のことをたくさん話すことで、自分自身を見つめるきっかけにもなりましたし、音楽に向き合う姿勢など多くのことを学びました。
この5年間、音楽だけでなく、さまざまなことを経験し、留学することの意味や素晴らしさを知ることが出きました。何もわからなかった私の背中を押してくれた両親にはとても感謝しています。リスト音楽院での学生生活はまだ1年以上残っているので、その間に、ヨーロッパでしか味わえない感動や経験をたくさん積み、それを音楽の生かし、より多くの人に音楽の楽しさや感動を与えられる演奏家になれるように頑張っていきたいと思っています。 |
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