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見えなかった自分を見つけ始めた自分の場所
ハンガリー国立バレエ学校
奥野 里穂

 
   私が初めてハンガリーに来たのは一昨年の二月でした。その頃のハンガリーはとても寒く、雪が凄く積もっていました。私はコンクールでスカラシップ賞をいただき、ハンガリーのバレエ学校に留学させてもらえる事になりました。私はハンガリーという国をまったく知らず、どんな国か期待と不安を抱えつつ、母と一緒に日本を旅立ちました。
 ハンガリーはとても良い国で人も優しく治安も良く、私が想像していた物とはまったく違い、凄くビックリしました。それから、とても綺麗な建物や観光地や景色など、こんな素敵な国でこれから勉強出来るんだ、と期待を持ちました。
 初めてのバレエのレッスンは、焦りでいっぱいだったのが今でも思い出せます。
クラスメイトみんな凄く綺麗で体のラインから顔や手足のポディション、ジャンプなどすべて綺麗なのです。私に出来ない事が分からせられるかのようでした。ハンガリー語も良く分からず、初日はあっという間に終わってしまいました。そして1週間過ぎてしまい、母が日本へ帰ってしまう日になってしまい、私は不安でいっぱいになり泣き出してしまいました。これからずっと、ココでやっていけるのだろう… ちゃんと一人で生活出来るのだろう… などと色々考えてしまい、母が帰ってからも1週間ホームシックになっていました。
  しかし、すぐにこっちでの生活も徐々に慣れていくことができ、料理もちゃんと毎日作り掃除も洗濯も、日本にいた時はすべて母がやって当たり前だと思っていたのですが、実際に自分でやると大変な事なんだと気づき、親の大切さや感謝の気持ちも持つようになりました。バレエの方は日本にいた時のくせがやっぱりすぐ直せず、気がつくと「顔を横に向けて!」「肩下ろして!」などと、いっぱい注意されてしまいました。私は肩がすぐ上がってしまうのが昔からのくせで、日本のバレエ教室の先生にも毎回注意をされていました。ハンガリーでもやっぱり言われてしまい、肩を注意されるたび、また注意されたと悲しくなりました。それから、肩甲骨を下に思いっきり下げ背中に入れるイメージで意識をするようにし、レッスンを受けるように心がけました。すると、先生から「良くなってきている、肩が下がってきた」と褒めてもらうことが出来ました。その時は本当に、自分にとって一番のコンプレックスを少しだけど、克服出来たんだ!!と嬉しくなりました。それからも、普段の先生の注意も聞き逃さないように聞いて、やってみるように心がけるようにしています。
  進級試験が近くなってくると先生が試験の振りを考え、その振りをみんなで覚えます。最初から最後まで覚えるのはやはり大変で毎日毎日覚えるのも、完璧に踊るのも大変でした。それでも、失敗をせずに踊れたときはものすごい達成感がありました。そして、やはり学校なので成績表も出て、自分が想像していた評価より良かったことも覚えています。日本で自分の踊りを評価してもらう事など無かった事なのでビックリした半面、自分の踊りを見直すことが出来ました。
  そして、一年半の間にもいっぱい公演に出させてもらえる事が出来ました。特に嬉しかったのは、今年六月に卒業した九年生達と一緒に卒業公演に出た事です。卒業公演は毎年凄くて、オペラ劇場で踊ることが出来ます。オペラ劇場の舞台に立った時、多くの観客と生オーケストラの迫力がもの凄く、鳥肌が立つほど凄かったです。私達が卒業する時もこんな素晴らしい所で、最後に踊れるのかと思うと、今から二年後が凄く楽しみです。今年も六月になったらオペラで卒業公演があるので、また出られたら良いなと思います。
  ハンガリーに留学してきてあっという間に一年半が経ってしまいました。しかし、一年間の間でもバレエも精神的にも成長出来たと思います。それから、練習にも工夫が出来るようになったと思います。鏡を見て、こうすれば綺麗に見えるとか、顔や手の位置や上半身の使い方、足を出す位置なども日本にいるときよりも気をつけるようになりました。これも、ハンガリーに留学しに来た影響があるからだと思っています。
  将来はどこかバレエ団に入団し、活躍出来ればいいなと思っています。まだまだ今の実力ではとても入れるようなものではありません。夢を実現するためにも、これからも日々努力したいと思います!!
 
 

Web editorial office in Donau 4 Seasons.