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挑 戦
森 隆真 (Corvinus大学経済学部)−早稲田大学交換留学生
北海道生まれ、北海道育ち。得意科目は英語、ではなく国語。海外に出たことも、ない。大学入学で上京した時にはまさか自分が1年半後にはハンガリーで生活するなどと思ってもみませんでした。ハンガリーはおろか海外ともおよそ縁のなかった僕の転機は、1年の留学が必修である国際教養学部に入学したことでした。多くの帰国子女と留学生に囲まれながら英語で授業を履修する中で、英語を話せる人など掃いて捨てるほどいることをしみじみと実感。それまでは純ジャパ(弊学部で日本生まれ日本育ちの学生を指す)な僕は、多くの学生がそうであるように当然英語圏へ語学留学をするものだと思っていたのですが、まてよ、と。どうしたって1年では海外生活云年の帰国子女たちには勝てませんし、そもそも今どき語学留学も珍しくもなんともありません。なにか違う選択が求められていました。国は住んでみなければ知ることのできない国、第一目標は今後海外で単身でも生きていけるだけのタフネスを身につけられること、環境は色々な国を見て回れる地理かつ奨学生の僕でも許容できる物価であること。これらが僕の求める条件でした。そうして最もハードかつ広い意味で学びのある留学先として、ハンガリーブダペストのCorvinus Universityに350の提携先から白羽の矢が立つこととなりました。
大学ではビジネスと国際関係学を学ぶことにしました(教養学部;リベラルアーツなのでとりわけ専門と言うものがないのです)。Corvinus大学は日本語ではブダペスト経済大学、とされるように経済・経営学分野に定評があります。同時に欧州の歴史や国際関係を中東欧の人々の視点から学ぶことができるという充実した学習環境です。また、一般的に日本からの留学先にはアジア人学生が多いため、北米、欧州にありながら「リトルアジア」の様相を成すという皮肉に見舞われることが少なくないのですが、ここでは見事に欧州系学生ばかり。外見の違いに身構えることがなくなりました。同じ英語の授業ではあるのですが、日本の時と決定的に違うのがオーラルの要素が多い点です。日本では評価がレポートやテストでなされるのが一般的ですが、ここでは授業中の発言やプレゼンテーションが重要な位置を占めるため、違った部分の力を伸ばすことができていると感じます。
授業以外の過ごし方としては、平日はせっかくの音楽の都ということでオペラやバレエ、クラシックをよく桟敷席で鑑賞しています。一流の演技、演奏に申し訳ないほど風流を解さないのですが、それでもこの恵まれた環境は徐々に目や耳を肥やしていってくれている気がします。ブダペストにしてよかった!と思うことの一つです。また日本人宿アンダンテホステルでの時間も僕の留学を語る上で欠かすことはできません。来洪時、お世話になったことがきっかけで今も時々お邪魔しているのですが、強烈な個性と独自の人生観、そして驚くべき行動力を持った旅行者の方々との出会いは新鮮かつ刺激的で、人間としての幅を広げてくれたように思います。休日や長期休暇の際には初欧州ということで、できる限り旅をして見聞を広げようと努めています。
今後の展望についても少々。中東欧ではまだまだ日本製品の優勢さ、ブランド力が有効であることを感じ、日本を見直しました。日本人は日本に対して過小評価、悲観的に過ぎるのではないかとも。一方で(これはそのまま自分自身に対する課題でもあるのですが)経営戦略や交渉力にはたしかに大いに改善の余地があるとも感じます。海外育ちの帰国子女にはない日本人としてのアイデンティティと、この留学で得た国際感覚、行動力が僕の持ち味です。これらを活かし、日本と世界とのハブとしての役割を通して、外側からもう一度日本を盛り立てていければと思います。
多くの困難に見舞われながら、目の回るほどたくさんの出会いと発見を繰り返しながら、早いもので僕の留学生活も今や折り返しを過ぎました。不安ながら、困難な環境で自分を試してみたいという欲求と冒険心で日本を飛び出してきた僕がここまでどうにかやってくることができたのも、多くの人の支えあってのことです。1年間日本人とは話せないかもしれないとまで覚悟したものですが、日本人の数が少ないためか、却って見ず知らずの僕に大変よくしてくださり東京在住時以上に人の温かみを感じて生活しています。この場を借りて改めてお礼申し上げます。残り少なくなってきた留学生活ではありますが、日本に帰国することを留学の終わりとしてではなく、さらに次のステップへ向かうための第一歩としてとらえ、挑戦の姿勢を崩さずにがんばり続けるつもりです。
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Web editorial office in Donau 4 Seasons.