|
ニュース
|
コンサート
|
自己紹介
|
『私らしく』
ハンガリー国立バレエ団 浅井 友香
私が初めてハンガリーに来た時の印象は「なんて素敵な国なんだろう!」でした。ロシアのサンクトペテルブルグにあるバレエ学校に2年間留学した後、ハンガリーにやってきた私にとって、ここはまさにヨーロッパ。街の雰囲気や人など全てのものが輝いて見えました。後々ハンガリーで知り合った日本人の方に話を聞くと、最初は嫌になったという意見が多く、同じ日本人でも全然感じ方が違うんだと思いました。
ロシアのバレエ学校を卒業後、どこのバレエ団を受けようか迷っていましたが、周りや親から「せっかくロシアで学んだのだから海外で挑戦してみたら?」という温かい後押しもあって、とにかくいろんな国のバレエ団にメールを送りました。最初は不安でしたがどこもすぐに返事を返してくれ、その中でハンガリーがプライベートオーディションをしてくれるというのですぐ受けることに決めました。その時不思議と迷いがなかったのはやっぱり何か感じていたからかもしれません。去年の10月にハンガリー国立バレエ団のオーディションに受かり、すぐ働くことになりました。海外での一人暮らし、バレエ団で働くことなど全てが私にとって初めてのことでしたが、そのことにも不思議と不安はありませんでした。
しかし正直、ハンガリーにあんな素晴らしいオペラ座があることも知らず、ましてバレエ団?という疑問を抱いていましたがその考えはすぐに変わりました。バレエ団のレベルも一流でレッスンや公演などやりがいがありますが、何より一般のハンガリー人にとってバレエや音楽はとても身近なもので毎回公演にはたくさんの人が観に来てくれます。それだけで踊り手にとってはモチベーションが上がるし、踊っていてもすごく楽しいです。またハンガリー人はみんな温かい人ばかりで、私はもっとバレエ団での関係は、ぎくしゃくしてるのかな〜と思っていたのですが、皆さん本当に仲が良く、私のような外国人でもすんなり受け入れてくれ、友達もすぐにできました。
もちろん、楽なことばかりではありません。言葉の壁や一人で暮らす寂しさ。そしてどこへ行っても人種的な差別はあります。バレエの場合、母国以外の国でやっていくには仕方のないことですが、特に日本人は西洋人の中に入れば目立ってしまいます。時には目立つことも大切ですが、私はバレエ団に入ったばかりなのでもちろん群舞(コールドバレエ)です。群舞はみんなと揃える事、一体になることが求められるので、目立ってしまう私は役から外されることも多々あります。みんなが踊っているのに私だけ踊れない。そんな疎外感には何度も何度もくじけそうになり、日本に帰ることも本気で考えました。
でも、そんな時、私を支えてくれたのは、応援してくれる人たちでした。
日本からエールを送ってくれる友達や家族。同じように海外のバレエ団で頑張っているバレエダンサーたち、そして何よりハンガリーに住んでいる日本人の方たち。1、2回会っただけでも心の底から応援してくれ、私をハンガリーで一緒に頑張る「仲間」として受け入れ、温かく見守ってくださっています。「みんなも頑張っているんだ!私も負けずに頑張らなくちゃ!」と何度も励まされました。日本にいたら出来ないような素敵な出会いや、日本人として日本を誇りに思うようになったり、私にとってバレエばかりでなく他のことでも色々経験ができました。
今、私は2年目のハンガリーでの生活を本当に楽しんでいます。少しずつですが言葉も覚え、周りとのコミュニケーションもとれるようになってきました。休みの日は友達と買い物に行ったり、ホームパーティーをしたり、去年よりも充実した日々を送っています。
これからはバレエだけでなくいろんなジャンルのダンスにも挑戦してみたいと思っています。それから言葉もこの機会にぜひマスターしていけたらいいです。
バレエ団での契約は一年ごとなので来年ここにいられるのかも全くわかりませんが、私はこの国が大好きです!ずっとずっと働けたらいいな〜と思っています。
これからも人と人とのつながりを大事に、私らしく、ハンガリーで踊っていきたいです。
そしてぜひ、みなさんも一度オペラ座へバレエを観に来てください!!!お待ちしています!!!
=
次の留学生自己紹介へ
=
Web editorial office in Donau 4 Seasons.