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高校生達を一つにする日本語コンテスト
Németh Nikoletta


 セント・ラースローというブダペストの高校で日本語サークルの講師として働いて30年になります。学習者は約20名で、私は彼らを教えるのが本当に大好きです。そこでは3つのグループがあって、それぞれレベルが違います。私はちょっとシャイですから、最初は人前で大きい声で話したり説明したりするのがすごく難しかったです。生徒たちが私に対してハンガリー語の敬語を使うのも本当に変な感じがしました。また、私が「座ってもいい」と言うまで生徒達が立って待っていることにも、なかなか慣れることができませんでした。でも今は「私は先生だ」ということにだいたい慣れてきました。 現在、週3回高校に通い、日本語に興味がある生徒達を教えることができて、なによりもありがたいと思っています。また、自分でも、「卒業したばかりの学生」から、「責任感の強い大人」になってきたと思います。教え方も上達してきました。
私の教え方には二つの特徴があります。一つ目は、生徒との距離を縮めることです。距離を縮めるといっても、教師として尊敬されなくてもいいわけではありません。私はいつも尊敬され、好まれる先生になりたいと思っています。もう一つの特徴は面白い文を作ることです。生徒達の性格によって練習の仕方を変えます。たとえば、誰かが動物が好きだったら、練習している時たいてい動物に関する文を翻訳させます。バットマンやスーパーマン、あかい犬、ピンクのスカートをはいている男の人などについての文を作ったこともあります。なぜかと言うと、文が面白ければ面白いほど生徒達は簡単に覚えられますから。
 
 

 三つのクラスは1年間別々なので、同じレベルのクラスメートにしか会えず、日本語を勉強している生徒達はお互いを知りません。だから私はできるだけ皆が一緒に過ごす時間を作りたいといつも思っています。たとえば日本語サークルでクリスマスパーティやカラオケを行っていますが、1年中何よりも楽しみにされているのは、学期の終わりに行われている日本語コンテストです。三つのグループの全員を二つに分けて、二つのグループを作ります。グループはリーダーを選んで、出てくる問題を協力して解きます。このプログラムは今年が3回目で、高校の慣習になりつつあります。出る問題は全部日本に関するものですから、楽しみながら日本の文化や宗教などについて勉強できるいい機会です。
 最初の問題はいつもクリエイティブな問題です。昨年、各グループは「さむらい」、「うきよえ」などそれぞれのトピックをもらって、それについて何とかして全員でおもしろい発表をしなければなりませんでした。今年の最初の問題では、Japán regék és mondákという日本の伝説がたくさん書かれている本から、各グループが一つずつ伝説を選んで演じました。
 第二の問題は日本文化クイズでした。毎年私は生徒達に本や大学生のレポートを読ませて準備させ、コンテストで楽しいクイズをします。今年のトピックは日本の美術や、外国における日本のアニメの影響、神道と仏教でした。それで高校生達は日本のいろいろな事柄を楽しく勉強できました。
 次に日本文化のクロスワードがあって、その後一番楽しいアクティビティというゲームが続きました。ただのアクティビティではありません。タスクは全部日本のトピックで書かれました。たとえば絵を描くタスクとして「ドラゴンボール」や「女子高生の制服」、ジェスチャーのタスクとして「日本への航空券」や「僧侶」などがありました。このゲームでたくさん笑って本当に楽しい時間を過ごしました。
 最後の問題は折り紙でした。なぜ折り紙が最後かというと、このゲームでは決められた時間内にたくさん作ることができたグループが勝つので、最後まで順位が変わる可能性があるからです。
 面白いことに、今年は二つのグループの中で日本語学習歴が短い人が多くいるグループが、日本語学習歴が長い人が多くいるグループに対して勝ちました。とても驚きました。
最後に、生徒は全員、プレゼントをもらいました。私にとっては、プレゼントを探すこともわくわくする時間です。色々なお店に行って、アジア的なものを探しました。子ども達は日本が大好きですからどんなものでも喜びますが、私の目的は出来るだけかわいらしくて役に立つものをあげることです。去年は漆塗製はしと、日本的な磁器のスプーン、今年は木でできた万年暦をあげました。コンテストが終わっても、皆は家に帰りたがりませんでした。教室に留まってレモネードを飲みながら1年の思い出についてしゃべりました。このプログラムについて「楽しいだけではなく、色々な新しい情報を学べるいい機会だ」と言っていました。午後5時ごろ、ようやく全員が家に帰って、夏休みが始まりました。

 このコンテストはすごく楽しくて人を笑顔にするプログラムです。日本語がわからなくても問題ができますから、日本語学習歴に関係なく一生懸命頑張りながら、団体精神を強くすることができます。私は1年中このプログラムを楽しみにしています。計画するのは大変ですが、高校生達の笑顔と楽しんでいる様子を見ると、「ああ、頑張ったかいがあった」と思います。この高校の教師になって、真面目なすばらしい生徒達に出会えて、本当に嬉しいです。

(ネーメット・ニコレッタ)
 
 

Web editorial office in Donau 4 Seasons.