幹事内で対抗戦の準備で集まると、まあ無事に終わるといいなという感じだった。明らかに去年の絶対優勝を目指すというものから違っていた。
というのも去年まで活躍していた前ゴルフ部長含め主力メンバーが今年の春に次から次へと帰国してしまっており、対抗戦ではいつも戦犯と呼ばれている私が部長を拝命するような状態。ゴルフ部のメンバーは頼りない部長と大幅な戦力ダウンを感じ戦意喪失ともいえる状態だったのではないだろうか。幸いにもそんな部の内情を知らないD社からは4名もの助っ人参加をいただき、参加メンバーとしてはなんとか揃えることが出来た。
さらに、今年はハンガリーチームが幹事として自国で主催する大会ということで、オーストリア・スロバキア・チェコからはるばる参加やってくる各国メンバーに粗相の無いように企画・準備もしなければならず試合よりもそちらの方が心配だった。ゆえに練習にもいまひとつ集中できないような状態で大会がどんどん近づいていた。総勢70名の大会という事で、通常のコンペとはまた違い準備はとても大変なのだ。ただ他に2名いた幹事が優秀だったおかげで、何もしない私を横目に淡々と準備は進んでいた。
部長としてどうやってチームを率いて勝つのか、強化方針はどうするのか。去年は前部長がきちんと方針を出していた。私はというとはっきりいって何にもできなかった。幹事業務や仕事が忙しくそれどころではなかった。ゴルフの調整をする暇も余裕も無くあれよという間に大会の行われる週末が来てしまった。また大会の2週間前にゴルフのマッチプレーで負けておりそれで意気消沈して、その後プレーにもなんだか気合がはいらず直前まで散々なスコアで、今年も駄目なのかという予感がしていた。
でも皆にはその時はっきりとは言えなかったが、この大会がハンガリーチームとして出場できるラストチャンスだと思っていたのでやっぱり勝ちたいとは思っていた。
そして当日。あれこれ悩んでもくるものは来てしまったので、まずは練習ラウンドで調子を確認。やはり気合は入らないがショットの感触が良く、スコアは駄目ながら自分的には満足。前夜祭もやらないので、本戦に備えて早く寝た。今年はとても健康的だ。当日の朝、各国のメンバー達が集結したパンノニアはなんだかいつものコースとは違うような賑やかさで、ちょっと緊張した。が自分のホームコースで大会が出来ることにちょっと嬉しい様な誇らしいような気持ちになり気分が高揚して行くのを感じた。自分のスタート前にも幹事として受付を手伝ったり、ルール説明をしたり、賞品の仕分けをしたりして、ゴルフに集中出来なかったのだが今思えば逆にこのおかげでスタート前に落ち着けたような気がする。
運命のスタート。第一打はフェアウェーに置けた。そしてツーオン・スリーパットのボギー。2番ホールはパーと来て、まずまずの始まりだがいきなり3番で大きく躓いた。ショートホールなのに左に引っ掛けてロストボールで6打になった。後続の組にいたチームメイトが見ていて一言、「畑山さん、またやってしまいましたね」。
でも今年は落ち着いていた。これがホームの利というものなのかもしれない。幹事の準備もちゃんとしたし、年に何十回と回っているパンノニアなのだからスコアが悪いわけないという気がしていた。そして淡々と18ホールが終わり、終わってみたら4度目の正直で80台が出せた。この時の気持ちはなんというか、4年間たまっていたストレスがすっと消えたというか、なんともいえないものであった。この瞬間は、「これで別に優勝しなくてもいいや」、とさえ思っていた。
そして結果発表。パソコンにデータを入れて自動計算なので、幹事も含め誰も結果を知らされてない中、各チームの期待がひしひしと感じられる雰囲気。急に自己満足から気持ちが変化していき、やっぱり優勝したい!
各国上位9名のグロススコアが開けられて行く。一番少ない国が優勝だ。1番、2番、3番あたりまでは拮抗。ここに自分の名前がある事も本当に嬉しかった。どんどん名前・スコアが開けられていくが、ハンガリーだけ三桁が出てこない!今年は圧勝だ。にわかには信じられなかった。皆笑って嬉しそうだ。去年とは全然違う、天と地の差だ。その夜の酒はいつものビールなのにやっぱり美酒だった。個人戦でも2位というおまけも嬉しかった。
ハンガリー参加メンバーの皆様、本当に優勝できて良かったですね。奮闘ありがとうございました。またハンガリー皆様のご声援(?)ありがとうございました。今年で終わらず連覇と行きましょう!
4回の対抗戦を通して本当に貴重な経験をさせていただきました。自分としてはゴルフへの取り組み方が変わる大きな経験でした。ゴルフは個人のスポーツだと思いますが、団体戦もまた面白いです。
残念ながら8月にハンガリーから異動が決まり、ゴルフ部には三年半の在籍期間となりました。最後の対抗戦に最高の結果が出て、忘れることができない思い出となりました。ハンガリーゴルフ部の皆様、これまで一緒にプレーしていただきありがとうございました。欧州内の異動なのでこれからチャンスがあれば参加させていただきたいと思っていますので、その時はよろしくお願いします。 |