ハンガリーで生活していると、建物の壁に誰々を記念するという大理石碑をしばしば目にする。日本人でもよく知られている作曲家リストや詩人ペテーフィらだけでなく、各々の分野で社会に貢献した人々の業績を石碑に記して、記憶に残すことをハンガリーの人々はとても大事にしている。そんな名誉ある石碑に初めて日本人が登場した。ブダペスト中心部にあるカフェのギャラリーに掛けられた大理石には次のように刻まれている。「1920年代当地で活動し、ハンガリーと日本の架け橋になった今岡十一郎を、彼が好んだこのセントラルカフェに記念して」。
記念碑は両国の国交140年と国交回復50年を記念した2009年、日本友好協会と日本人商工会の尽力により設置された。筆者は今岡十一郎の業績についての書籍『日本海からドナウ河畔へ』をハンガリーで出版した縁があって石碑設置に関わった。それから4年が経ち、今年は今岡の生誕125年、没後40年に当たるということで、日本友好協会のヴィハル会長が中心となって石碑に献花し、再び今岡と両国交流を思い起こすささやかな会が11月末に開かれた。以下、当日の挨拶を元に今岡の活動について主なところを紹介する。
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