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ハンガリーで身についた「粘り強さ」
松沼 綾子


 2011年4月、ブダペスト日本人学校に赴任する主人と共に、当時7ヶ月半の一人息子を連れてのハンガリー生活が始まりました。毎日があっという間に過ぎていき、気づけば滞在3年に近づいています。
  飽きっぽい性格の私は、継続するとか努力し続けるというのは苦手なのですが、ハンガリーに来てから2つの「粘り強さ」が身につきました。一つはハンガリー語でのやりとり、もう一つは・・・文字通り粘り強い食べ物、納豆づくりです。
  ハンガリー語は、習い始めて2年半以上になります。始めた当初は、一から十まで言うのがやっとという状態でした。でも、ベリさんの分かりやすくて楽しい授業が進むにつれて、少しずつ生活の中で使えるようになってきました。対面式の肉売り場で、覚えたばかりの文章を使って量り売りの肉を買えたときの緊張感と達成感は今でも覚えています。恥ずかしがらず、諦めずに言ったり書いたりすることで何とか分かってもらえるととても嬉しいです。ハンガリーでは、小さな子供を連れていると「かわいいわね。男の子?何歳?」と、多くの人が声を掛けてくれます。バスやトラムでもさっと席を譲ってくれたりベビーカーを乗せるのを手伝ってくれたりするところはハンガリーの素敵なところです。そんなとき、ハンガリー語で会話したいという思いがさらに強くなります。ハンガリーでの生活は限りあるものですが、最後まで粘り強くそして楽しく学習し、実践したいと思います。
  納豆は、昨年の秋から続けている、私の「粘り強い」得意料理です。
  納豆は子供のときから大好物で、本当によく食べていました。ハンガリーでは納豆は高価なものですが、食べられるのはありがたいことです。自分で作るようになるまでは、たまに1パックを家族3人で分けて少しずつ食べるのが楽しみでした。
  昨年の秋、転機が訪れました。「納豆が作れるって聞いてやってみたんだけど、うまくいかなかったわ。」という友人の一言です。本当に自分で作れるのかしら??

 
     インターネットで調べてみると、特別な器具なしで納豆を作る方法があることが分かりました。挑戦1回目は粘りけが少なく大成功とは言えませんでしたが、繰り返すうちに満足いく納豆ができるようになりました。自分なりに試行錯誤してできたレシピは次の通りです。
 
1. ふたつきの大豆保温箱を作る。(段ボール箱に梱包用プチプチを貼り付けるなど)
2. 乾燥大豆1カップを7~8時間水でふやかしてから、大豆が指で簡単につぶれるくらいまで茹でる。(圧力鍋があると早くできる。)
3. 茹であがる少し前に、別の小鍋でお湯を沸かし、ふたをして鍋ごと保温箱の中に入れておく。(保温箱の温度を保ち、大豆の発酵をすすめるため)
4. 茹であがったら、鍋のゆで汁を、大さじ2ほど残し捨てる。(大豆とゆで汁少々はまだ鍋に入れたまま)
5. 熱い大豆の中に、市販納豆(冷凍可)5~10粒を入れて手早く混ぜる。(少量のゆで汁があることで納豆菌が全体につく)
6. キッチンペーパー4枚を敷いた清潔なプラスチック製密閉容器に大豆を移す。
7. 6の容器にキッチンペーパーを2枚かぶせ、その上にプラスチック製密閉容器のふたをずらしてのせる。
8. 7を保温箱に入れる。(お湯が入った小鍋の隣)
9. 8時間後と16時間後くらいに、キッチンペーパー2枚と小鍋のお湯を交換する。
10. 保温をし始めてから20~24時間後にできあがり。
 
 私の場合:金曜日の夜大豆を水に浸す。土曜日の朝8時に圧力鍋で大豆を茹でて納豆づくり開始。午後3時か4時にお湯を換え、夜寝る前にもう一度お湯を換えると、日曜日の朝できあがり。
大粒でにおいも強く、醤油で食べる自家製納豆はとってもおいしいです。皆様も、納豆づくりに挑戦されてみてはいかがでしょうか。

 私にとって、海外生活はもちろん育児も初心者です。来ハン当初を思い出してみると、きっと大丈夫!と思う楽観的な自分と、何かあったらどうしよう・・・と不安でいっぱいの自分がいました。でも、本当に多くの方々に支えて頂いて不安も少しずつ消えていき、少しですができることも増えました。日本にいたときももちろんですが、ハンガリーに来てますます、自分が生活できるのは皆さんのおかげと強く実感するようになりました。本当に感謝しております。感謝の気持ちを忘れず、自分の経験を生かして少しでもまわりの方々のお役に立てるよう、努力していきたいと思います。

(まつぬま・あやこ)
 
 

Web editorial office in Donau 4 Seasons.