自分が歳をとった所為か、あるいは時代の変化が感じられる所為か、最近では威勢の良い話には、つい疑念を持ってしまう。東京五輪開催決定時は東京に滞在していたが、当事者の高揚感とは裏腹に、1964年の東京五輪のような期待感が湧いてこなかった。東京の街の様子もいたって平静だった。もう日本は発展途上にある状態をはるかに過ぎてしまったから、五輪招致を有り難がる状況にはないし、原発や震災復興の課題の大きさを考えれば単純に喜べない。日本社会はいろいろな意味で成熟期にあり、大きな歴史的転機を迎えているように感じているのは私だけではあるまい。
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