かつては世界に燦然と輝いた「日本
の物作り」も、中国・韓国・インドの急成長、アップル、グーグルの斬新的なアプローチの前に、かつての輝きを失っている。「日本の物作り」に身をおく私に
とって、頭から離れない重いテーマとなっています。「輝き」の復活を込めて、私の思いをまとめてみました。
大きく変わった世界の物作り
何でも手に入る世の中になってきました。機械・ハイレベルな部品・技術・人さえも、「パクリ」文化も当たり前となっています。豊富な資金ですべてが揃いま
す。低所得地帯でマニュアルに従い単純労働する「物作り」は、いとも簡単に世界に通用する製品が誰にでも作れる世の中になりました。これを私は「物作りの
レシピ化」と名づけています。
この変質を最大限に活用しているのが中国・韓国・台湾などの新興国であり、生産拠点をグローバルに海外展開したメーカーです。工業基盤のない国でも、製造
経験のないソフト関係のメーカーでも、世の中に通用する製品を作ることが可能になってきました。この結果、「物作りのレシピ化」は最終的に何の魅力もない
平凡な商品の廉価競争に突入しました。日本人はこの種の競争は苦手です。それは「日本の物作り」精神と違うからだと思います。コピーでない「物作り」には
思い入れや情熱が必要です。それを欠いた「物作り」には、作る者の気持ちが入っていないのです。
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