地方自治体の中でも、建築課は特別な存在だ。許認可にかかわる部署だから一種の独立権力になっている。ここ
が許可しない限り、地下鉄工事も止まってしまう。工事が始まってからどうしてそのようなことが起きるのか理解不能だが、とにかく自治体の建築課は絶対的な
権限をもっている。
2009年に照明デザイナーの石井幹子さんが設計したエリザベート橋のライトアッププランも、ブダペスト市建築局からの修正要求が度重なって、当初のデザ
インと似ても似つかないものになった。確かに橋は明るくはなったが、橋桁のラインが浮き彫りになる照明が当初のデザインだった。しかし、修正に修正を重ね
た現在の照明には石井さんの構想がほとんど活かされていない。
それほどにハンガリーでは建築局(課)が絶対的な権限をもっているから、建設・建築許可申請は頭が痛い。権限と腐敗は表裏一体。自治体の建築局(課)は腐
敗の巣窟になる。
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