彼の実際のプレーと頭の中のゴルファー像のギャップは、主にマリガン(打ち直し)の多用で埋められたようで、常に疑惑の多
いゴルファーでした。著者は、2002年にクリントンと一緒にプレーをしていますが、実際は100前後叩いている筈なのに、スコア・カードは何故か82に
なっていて、クリントンのサインしたカードの写真も本に載っています。
モニカ・ルインスキーのスキャンダルでもみ消し工作をして、自分のミス・ショットを認めようとしなかったことは、彼のゴルフを知る人々にまさにクリントン
のやりそうなことだと思わせました。それでも、明るく楽天的な性格なのか、彼のゴルフは気取りのない、楽しいものであったようで、魅力的な人柄は今でも絶
大な人気があります。
一方、ジョージ・W・ブッシュは、クリントンほど熱心なプレーヤーではなかったようですが、とにかくせっかちで、早く回ることを第1の目標にしていたよう
です。ブッシュは家族で良くゴルフをしましたが、ブッシュ家の4人で18ホールを1時間42分で回った記録には驚きです。彼らは、最後のティー・ショット
が着地しないうちにカートを走らせていました。ブッシュは、ルールをちゃんと守るゴルファーでしたが、彼と一緒にプレーをしたベテラン・プロのクレンショ
ウによると、危険を恐れずにいつでもグリーンを攻める攻撃的で突進するゴルフであったといいます。イラク侵攻もドライバーの一振りと変わらない気持ちなん
ですね。
ところで、ゴルフは、18世紀半ばにスコットランドはエジンバラのゴルフクラブで、一応のルールが出来てス
ポーツとして確立したと、夏坂健の本に書いてありました。
ゴルフという言葉が最初に文献に現れるのは、15世紀のスコットランド王国。民衆が余りにもサッカーとゴルフに打ち興じていて、イングランドとの戦いに備
えての槍や弓矢の練習を怠っていたので、「今後一切サッカーとゴルフはまかりならん」と王様ジョージII世がお触れを出したのが、ゴルフという言葉が残る
最古のものというのですから、なんとも皮肉な話です。
皮肉やユーモアと言えばゴルフにまつわるジョークというのが山ほどあって、他のスポーツにこんなにあるのかしらと思わせます。Golf is
the perfect thing to do on Sundays because you always end up having to
pray a lot. /Never take lessons from your father. Never teach golf to
your wife. Never play with your son for money. /A ball you can see in
the rough 50 yards ahead is always not yours.
家では奥方に庭の草むしりを頼まれても生返事ばかりをしている世の亭主も、ゴルフとなると朝6時からいそい
そと出かけていく。そんなゴルフの楽しさとは、きれいにセッティングされたコースの中で、各自が理想のスコアを胸に、思い思いに自分の飛球線を頭に描くこ
とではないでしょうか。しかしそこには幾つもの落とし穴が。。。
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