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2009年秋に日本へ一時帰国した時に、「ハプスブルグ絵画展」を宣伝していた。実際に足を
運ぶことはできなかったので、空港の書店で見つけた中野京子『名画で読み解く ハプスブルグ家12の物語』(光文社新書、2008年)を持ち帰って読ん
だ。なかなか歯切れのよい明快な解説で、絵画をもとにハプスブルグ650年の歴史を駆け足でめぐる物語である。絵画は私の趣味に入っていないが、この本を
読むと、それぞれの絵にある事情や社会的背景を知ることなしに、絵画を楽しむことができないことが良く分かる。もっとも、それはすべてのことについて言え
ることで、スポーツでもルールや競技の妙技を知らないスポーツを見てもつまらないし、ロシアの歴史時代を知らなければロシア文学作品を楽しむことはできな
いだろう。前提になる知識があるかないかで、作品の楽しみ方や理解の仕方はまったく違うものになる。 |