足掛け3年近くかかかって、やっとレンドヴァイ氏の大著『ハンガリー人』(Die
Ungarn-Eine tausendljarige
Geschichte)の日本語訳が完成,出版にこぎつけた。600ページに及ぶ大著の翻訳を思い立った経緯などを記してみたい。
2003年末にハンガリーに着任して間もなく、ウイーンの本屋に立ち寄り、ドイツ語のものでハンガリーの歴史を知る本を探してみた。本屋の店先に見慣れた
名前がふと目についた。それがレンドヴァイ氏の『ハンガリー人』であった。同氏は私がオーストリアに公使として勤務していた当時、東・中欧情勢について意
見を伺った人である。
ハンガリーに赴任した大使には三つの大きな行事に参加する義務がある。3月15日のオーストリアに対する革命記念日、8月20日の建国記念日、それに10
月23日のハンガリー革命の式典である。いつも先ず国会議事堂の前に整列し、一連の儀式に参列した後、3月は国立博物館前に直立不動で革命の寸劇を観る、
8月のそれはお祝いそのものであり、10月の記念日は夕刻ナジの墓前に花を添える。
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