私が初めてハンガリーにきたのは16歳の時でした。一人旅の飛行機では、これからどんな生活が始まるのだろうと、不安な気持ちでいっぱいでした。日本からハンガリー行きの直行便はないので、乗り換えなどが私にとって一つの壁でした。ハンガリーに到着し、空港からアパートに向かいました。アパートは一人暮らしにはもったいないほど、広くて、でもとてもおしゃれで気に入りました。
 学校が始まる数日間は毎日お母さんたちと電話し、ホームシックがとにかくヤバかったです。何回、「帰ってもいい?」って聞いたかとか…。自炊、洗濯、買い物など、慣れないことばかりで、日本でお母さんが当たり前のように毎日やってくれていたありがたみをすごい感じました。学校には地下鉄で5-6分で着くので通学はとても楽です。学校はスタジオが12個もあって舞台もあって、衣装部屋には数えきれない衣装があって素晴らしい環境だなと思いました。初のハンガリーでのクラスはすごく緊張しました。私はとても小柄なので、留学する前から覚悟はしていたんですが、とりあえずみんなの背の高さにビックリ!そして足がきれい!どうしても自分と比べてしまいました。

 ハンガリーに来て、とても舞台経験が増えました。一年目の冬のくるみ割り人形の舞台では中国の踊りを踊らせてもらいました。見に来てくれたお客さんは、「おめでとう!」、「よかったよ!」など声をかけてくれて、ハンガリー人ってとても温かいなと思いました。それからも地方公演などいろんな舞台を経験させてもらいました。驚いたのは、一度小さなカンパニーのモダンの作品に出せて頂いたときに、お給料が支払われたことです。こちらが出させてもらってお礼を言いたいぐらいなのに…。日本では考えられないなと思いました。その自分がもらったお金でアパートのガス代電気代を支払えたことがすごくうれしかったです。

 春休み前に毎年校内コンクールが開催されます。自分の個性にあった踊りをみせるいい機会だなと思います。去年の校内コンクールではみんなで力をあわせて団体作品で一位を頂き、ガラにまで出させてもらいました。舞台やコンクールの他には、年に二回試験があって、バレエはもちろんモダンなど他のジャンルの踊りも評価されます。毎回、クラスのみんなで話し合ってレオタード、髪型、髪飾りをあわせます。バレエはバーレッスンから試験が始まり,たくさんの先生方が見に来るのでほんと緊張します。毎回反省点はたくさんありますが、すべて終わった後の達成感はすごいです!

 ハンガリーにはヨーロッパならではの、素晴らしい世界遺産や建物がたくさんあります!有名なくさり橋の夜景は他の国じゃ見られないような温かみがある景色で、小さいことで落ち込んでいられないなと見るたびに思わされます。オペラ座の劇場もとても豪華です。一年目に見たときは、その豪華さに圧倒されてしまいました。卒業公演はオペラ座で行われるので、出演できたらいいなと思います。
 今は二年目になり一年目に比べさらに舞台経験が増え、学校内の友達もとても増えて毎日充実した日々を送っています。そしてハンガリー人とのハンガリー語でのコミュニケーションもだいぶスムーズになりました。こっちにきてたくさん悔しい思いや辛い思いもしましたが、それも自分の考え方や成長につながったと思います。本当ハンガリーという国にきてよかったと思います。このハンガリーで学んだことを将来にいかしていきたいです。
 そして最後に、ここまで頑張ってこられたのは日本の家族、先生方、友達、そしてハンガリーで一緒に頑張ってきた仲間の助けがあったからです。感謝の気持ちでいっぱいです。いつか恩返しが出来ればなと思います。これからも今しか出来ないことを頑張っていきます!

(ましこ・ゆめの)