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居心地のいい場所
大阪大学外国語学部ハンガリー語専攻
遠藤 綾女

 
   ハンガリー専攻で勉強を始めるまでブダペストが首都であることも知らなかった私ですが、なぜこんなにもハンガリーを気に入ってしまったのでしょうか。ドナウ川沿いの景色と、どこか素朴な雰囲気。雨漏りしちゃうようなバス。ぶっきらぼうな店員さんもいるけど、心の距離をすごく近くに感じることができる瞬間もある。そういうところがなんとなく好きです。
 ハンガリー政府奨学金を頂いて現在10か月のプログラムで留学しています。物心ついたときからずっと海外での生活に憧れていたので、いよいよ日本を出発する飛行機の中で「夢って叶うんや!」と思ったことを今もよく覚えています。実際に来てみると、想像以上のことが待っていました。楽しいことも大変なことも。たった10か月ではあるけれど、旅行とは違い、その土地に住むこと気付くこと、見えてくるものがたくさんあります。一歩足を踏み出してみると、どんどん世界が広がっていくんですね。思い描いていた留学生活はとっくに通り越していました。
 国語が大の苦手な私が日本語を教える機会を頂き、すごく不安でしたが、一生懸命に勉強する姿や、彼女たちの日本語でのスピーチを聞いたときは本当にうれしくて感動しました。また留学前、大学の先生を介して知り合ったハンガリー人の友だちとお互いの勉強のためにスカイプで定期的に話すようになったのですが、そのちょうど1年後にようやく初めて顔を合わせることができました。写真はその時のものです。デブレツェンを案内してくれて、ハンガリー料理を教えてもらって、ゲームをして、たくさんおしゃべりして。初めはお互いにちょっと緊張もしたけれど、本当に楽しい時間を過ごしました。日本から遠いところへ会いに行くことができる友だちがいるということへの喜びも、なんだか不思議な気持ちでした。もちろん今でもずっと連絡をとっています。留学前の会話を思い出してみると、より多くの話題について自分の気持ちや考えを話せるようになってきました。少しずつ上達出来てるかな、と実感する瞬間です。だからおしゃべりできることが本当に楽しみ。非常に貴重な経験です。

 留学生活において私にとってよかったことは、日本について勉強しているハンガリー人の友だちができたことです。みんな日本語が本当に上手で、日本のことをよく知っている。ハンガリー語を習得するためにあまりよくないようにも思いますが、日常的にハンガリー語を話せる相手ができたし、日本に対して理解のある人たちが周りにいてくれるおかげで、日本から遠く離れていても不安な気持ちを和らげることができました。それに、これでもか!というくらいいつも私を助けてくれます。親切すぎて最初はびっくりしました。そして、彼らの勉強熱心な姿勢から学ぶべきことはたくさんあります。自分が日本についてよく知らないことは多く、反省もします。また、思っていたよりも多くの日本人や、世界各国の人たちと出会いましたが、みんなとても個性的だと思いました。みんなそれぞれの理由でハンガリーにいますが、しっかりと自分を持って生きている。私がすごく見習いたい部分です。

 留学前にもすでに大学へ通うために一人暮らしを始め、旅行が好きなのでひとりでもあちこちしていましたが、生まれ育った土地から、家族から、友達から遠く離れて、慣れない環境で寂しさやストレスを感じることは正直たくさんあります。そのうえ冬のどんよりとした天気はさらに気分を下げていきます。それでももっともっとハンガリーにいたいと思う。それは、私の周りにいつも支えてくれる楽しい人たちができたから。離れていても日本から見守っていてくれる大切な人たちがいるから。そしてまだまだたくさんの夢があるから。
 留学生活も折り返し、次の目標に向けて動き出しているところです。こんなに気に入ってしまったハンガリー。大国になってほしいでもなく、世界一多くの観光客が押し寄せる国になってほしいでもなく、ハンガリーのことをもっと多くの人にもっと知ってほしい。何かの縁あって今ここにいるのなら、私にしかできないことがきっとあるはず。
 現実にしたい夢を心に留めておくのはもったいないです。どんなに小さなことでも行動にうつしてみる。そうすると何かが変わる。これまでの留学生活の中でたくさんの人と出会い、様々な経験をして、自分自身についても悩み、考えることができた今ひしひしと感じています。

(えんどう・あやめ)
 
 

Web editorial office in Donau 4 Seasons.