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2年目でできる学ぶということ
柳沼 加奈
リスト音楽院トロンボーン科2年生

 
現時点で自分がやりたいこと、できること。ブダペストに滞在して2年目を迎えた今、この二つのことを常に意識しながら学べることに、心から感謝の念と喜びが取りまきます。わたしが初めてブダペストに下見目的で2週間ほど滞在したのが2010年2月の寒い時期でした。海外に行くのも初めてなのに、一人で乗り換え経由までしなければいけない。どうなることかと懸念しましたが日本でサポートしてくださった会社の方に懇切丁寧に説明していただいて、スムーズに無事ブダペストに到着することができて安心したのが第一でした。
いざ生活してみると日本にいたときよりも頼まれること、やらなければいけないことが格段に少なく、一人で過ごす時間が多いということに気づきました。日本を離れて初めてとてもゆったりとした時間の流れを感じ、今まで想像さえもできなかった地で一から学ぶ。戸惑うことに慣れようとしたり、自分が気になったことをチェックするので精一杯でした。ところが、様々なことを知れば知るほど、自分が期待していた以上の情報が存在していて、迷う前にブダペストで学びたいと決めていました。
元々中学生のときからなんとなく留学はしてみたいと思っていましたが、吹奏楽部目当てに高校入学してちゃんとトロンボーンを習い始め、本格的な音楽の勉強をし始めると、海外ではどういう学業に対するアプローチが行われているんだろうという好奇心が強くなっていきました。高校2年の時に高校卒業してすぐに海外に行くか、日本で準備期間を設けてある程度成長してから行くかという選択に悩みました。準備には何が必要なのか、どこまで自分でできるのか、いろいろ調べて考えた結果、まだ自分は日本のトロンボーンを吹いている人たちについてなにも把握していないし、あまりに情報が少なすぎると気づき、日本で音楽短期大学に通い、その間自分ができる精一杯のスキルアップに取り組みました。
実際に短期大学に入学してみると、独特の雰囲気やルールなど音楽以外のことも身につけることができ、人間的にもいろんな意味で成長できたと思います。そして短大1年の後半にハンガリーへ下見に行き、リスト音楽院に入学することを決め、音楽留学用の入試対策に取り組み始めました。すると、短期大学で学んでいることとヨーロッパで採用されている様々な教科の相違点がどんどん浮き彫りになってきて、とても大変でした。準備期間が過ぎ、いよいよ入学試験となりました。入学試験もちょっとした手違いが多くて翻弄されていました。試験が無事終わり、合格通知をもらって、ビザの手続きをして、ブダペストに到着しました。いざ学生生活が始まると、毎日がめまぐるし過ぎて行きよく覚えていません。
英語で行われる授業が次々と過ぎて行き、週3回あるレッスンの準備や予想以上にたくさんある宿題で前期はあっという間でした。ひとつ試験がすぎて、新たな学期が始まる時期に「ああ、自分は結構一生懸命だったんだな」とようやく実感できました。もともと人見知りで兄弟がいないため一人で黙々と何かをすることに慣れてしまっている私に接してくださる人たちに心から感謝の念が沸き起こりました。金管楽器のマイペースで親切な人々も観察して接すればするほど楽しくてとても刺激をもらっています。リスト音楽院のトロンボーン科はよく式典のファンファーレをすることが多いのですが、去年はオペラ座で行われたリスト音楽院の教授陣によるガラ・コンサート、今年9月半ばには国会議事堂でオリンピックとパラリンピックの選手が感謝状及び功労賞を贈呈される式典などで演奏することができました。
マスタークラスを見学・参加したり、コンサートで金管アンサンブルをやったり、オーケストラに参加させていただきました。日本でのコンサートにも誘っていただき、もう二度とできないだろう経験をすることができて、自分のトロンボーンに対するアプローチも広がり、非常に充実しています。夏休みには国際トロンボーンフェスティバルというトロンボーンを演奏している人なら誰しも聞いたことがあるトロンボーン奏者にとっての大きなお祭りをパリに聴きに行きました。リスト音楽院を卒業された先輩方の演奏も楽しく聴けて、新たな発見があり、自分にプラスとなることが蓄積できてよかったと思いました。去年一年間過ごして余裕がでてきたからこそ見える取り組めること、行き詰まった時には自分をリセットして、新たなスタートをきることでさらなるスキルアップをしていきたいと考えています。
(やなぎぬま・かな)
 
 

Web editorial office in Donau 4 Seasons.