Topに戻る
 

 
 
 
     
 
日本人学校補習校その他日本語教 育
 
     
 
 
 
みどりの丘日本語補習校「母であ り、家庭教師の日々」
ベニングみゆき

 補習校で出される宿題に、娘と一緒に取り組むようになって1年半。上手に漢字が書けたときは優しく褒めつ つ、次に出てくる言葉は「早くしなさい!」「昨日やったばかりじゃない!」という具合で、自分でも鬼ママだと自覚する毎日です。成長した子どもたちが「お 母さんが一生懸命になっていたのはこういうことか」と理解してくれる時はいつ来るのだろう、と自分でも、時々気が遠くなる思いです。

 
2つの学校と家庭学習
  娘の梓晏(しあん・7歳)は、1歳の時にハンガリーに来ました。ハンガリーの保育園から幼稚園を経て年長になるとき、アメリカンスクールに転入しました。 現在は平日アメリカンスクールに通い、土曜の午前中は補習校で「こくご」の勉強をしています。アメリカンスクールではまだ1年生ですが、補習校では日本と 同じ年度を採用しているので、4月から2年生になりました。
  家では、学校から帰ったらまず補習校の宿題をやる様にしています。2年生になって感じるのは、漢字が1年生の時と比べて親の目から見ても驚くほど難しく なったということです。どうしたら覚えられる様になるのか頭を悩ませており、これは補習校の保護者間でも共通の課題になっています。補習校の授業を毎回休 まずに受けても、家で毎日コツコツやっていかなければ大抵忘れてしまうのです。日常生活の中で日本語に触れる機会が少ない環境では、日本語能力の維持、そ して向上を図るのは大変難しいことと言えます。まずはコツコツと継続して勉強していくこと。家での勉強が、子どもの年齢が上がれば上がるほど重要な鍵とい う訳です。
  自宅での勉強は、疲れが溜まるほど集中できなくなり、無駄に時間がかかって大きなストレスになるようです。それでも鬼ママが目の前で睨んでいるので仕方な くやっています。短い時間で効率よくやらせようと、親の私の方が熱くなり、私の声のボリュームは上がる一方です。
 

モチベーションを持つ難しさ
  「補習校に行くのは楽しいけど、宿題は好きじゃない。」
  これは、補習校に通う子どもたちのほとんどが、口を揃えてと言うことです。それは、現地学校や国際学校の勉強に加えて、なぜ「こくご」まで勉強するのか、 その意義やゴールが見えにくく、また理解しにくいからと思います。そしてそれは、なにも娘の通う補習校の子どもたちのみならず、娘と同じ年頃で平日の学校 以外にもう1ヶ国語を勉強している子どもたちは多かれ少なかれ同じような状況のようです。(日本人に限らず現地校やインターに通う外国人の子どもたちは、 大概みな母国語を学校外で学習しています。)しかもどの程度マスターしたい、させたいというのは、家庭環境によっても大きな差があります。
  だからこそ、子どものモチベーションも上がりにくいところがあります。しかし、親の方は子どものモチベーションが上がっていないところを、子どもの中で湧 水のようにモチベーション生まれるまでは何とか引っ張ろうとしているというのが、現状なのではないでしょうか。
  モチベーションが上がりづらいのは、日頃あまり使わない言語ということがあるでしょう。その上、平日通う学校からの宿題や読書の課題、習い事等などで子ど もの方も疲れています。(そして、時間はあっという間になくなってしまいます。)疲れている上に「友達は遊んでいるのに、、、」という不満も増大して、モ チベーションを持つどころではありません。
  私やアメリカ人の夫は、娘に、「二ヶ国語ができることは素晴らしいことで、ゆえに、そんな梓晏は特別な存在」と励ますようにしています。しかし、自己満足 できるまでの年齢に至っていない子どもたちにとっては、それもなかなかモチベーションアップには繋がり難いようです。というのも、現地学校や国際学校のお 友達との間で他言語を話せる、書けるという、一種の自慢話しは稀にあったとしても、子どもたちの反応は「ふ〜ん」「へ〜」程度で、話題はあっという間に反 れてしまうからです。

 
一歩一歩
  それでも、補習校入学したてのころと比べると、少しずつですが、確実に成長してきたように思います。いまだに、補習校の先生が日々の宿題の成果を見るため の小テストを用意してくれても「わからな?い」とあっけらかんとしていることが多いのですが、それでもテストで良い成績を取った時は、嬉しいと喜ぶように なってきました。つまり、自分が頑張ったことに対する達成感を感じられるようになってきたようです。同じ環境の仲間と一緒にがんばってきた1年半。親子の 日々の小さな努力が少しずつ芽を出してきたようです。
  今年の5月末には娘にとっては人生初の受験(漢字検定10級)も体験しました。受かるかどうかはさておき、ゴールに向かって頑張ることが出来た事が何より 良かったと思います。子どもによっていろいろですが、モチベーションを上げるには、何より自信をつける事が大事だと思っています。娘の場合、ある程度褒め る事がとても有効なようです。これで漢字検定に合格してくれたら効果テキメンといったところなのですが。。。まさに、「ブダもおだてりゃ木に登る!」です ね。
いつかこの努力が報われて、成長した娘が「がんばって勉強して良かった!」と思ってくれる日を夢見て、嫌われない程度に毎日コツコツと、鬼ママの努力は続 けて行こうと思っています。たとえ目指すゴールが遥か彼方であっても。
 
最後に。。。
  私たち家族は、この夏日本に帰国することになりました。娘は日本のアメリカンスクールに通う予定なので、引き続き「平日の学校プラス国語の勉強」という生 活になる見込みです。従って、私の母・兼・怖い家庭教師という役割も、当面続きそうです。
  最後に、「みどりの丘補習校」で机を並べて一緒にがんばってきたお友達、みんなが一緒だから梓晏もがんばれたよ。日本に帰ってもずーっとお友達! 大変だ けどこれからも頑張ってね! そしてお世話になった先生方をはじめ保護者のみなさま、大変お世話になり誠にありがとうございました。みなさんの支えで子ど もたちが勉強できる場所があります。今後も引き続きぜひ、子どもたちが楽しく興味を持って「こくご」学習に取り組める様、お力添えをお願いします。
  「ドナウの四季」読者の皆さま、ハンガリー「みどりの丘補習校」では現在、小1〜中2まで21名の子どもたちが「こくご」学習に励んでいます。ぜひ応援し てください。
 
 

Web editorial office in Donau 4 Seasons.