“世界に一つだけの花、一人一人違う種を持つ。
その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい・・・“

 今年度はスマップのこの歌、「世界に一つだけの花」を何度も聞いた方も多いことでしょう。みどりの丘ブダペスト補習授業校の卒業式も、「世界に一つだけの花」の合唱で小学部6年生の3名が小学部を卒業しました。
“一人一人違う種をもつ・・・”“どれもみんなきれいだね・・・”
 補習校の児童を見ていると「本当にそうだなあ」と思います。外見でいえば、同じ年齢でも頭一つ分以上背の高さが違ったり、髪の色でいえば、ブロンドから多色な茶色に漆黒の色。外見からは分からないが、今年の卒業生をみても、すでに3カ国以上の国での生活を経験している子もいれば、上手に九州アクセントで話せたり、平日ハンガリー現地校に通っているとは思えないほど流暢に日本語を使いこなせる子がいたりと。
 週に一度の補習校。授業時間が土曜日の朝ということもあり、「大変だね」、「補習校の宿題もしなくちゃなの?」と現地校やインターの友達に言われていることはよく聞く話です。卒業生の一人は答辞で、「金曜日のパジャマパーティーに行けなかった」と正直に述べていました。もう一人の男の子は、「何度も補習校を辞めたいなあ」と思っていたそうです。5年生ともなると、平日に通っている現地校の授業内容も濃くなり、宿題やテストの量も増えてきます。それに加えて、4年生まではまだまだ遊びに近かった楽器のレッスンやスポーツも、真剣に取り組んでいかなければ上手にならないと気づきます。大人よりも毎日の予定が詰まっているほどです。しかし、
“ちゃんと胸を張っている・・・”
 今年の卒業生は本当にその通りでした。原稿用紙5枚はあったでしょう。答辞の中で、補習校へ通う生徒の常套句、「補習校へ通うのは大変だった」と書いていた子は一人もいませんでした。それとは正反対に、「先生、中学部へあがったら、もっともっとまじめに授業に取り組みますね」や、「これからも漢字の読み書きに励みます」、そして「中学部のかるた大会に向けて、密かにもう百人一首を覚え始めています」など、前向きな言葉が発せられていました。
 補習校へ通い続けられるか否かの分岐点は4年生が始まる頃から5年生半ば頃。それまで親に言われてやっていた宿題が、自分で出来るようになる時期。この頃は精神的にも成長して日本語がもっと理解できるようになり、分かるようになるから宿題が嫌ではなくなる。親の立場からの表現でいうと、「子どもを補習校へ通わせる」から「子どもが補習校へ通う」でしょうか。その時期を乗り越えた卒業生だからこそ、「まだまだこれからも国語学習を頑張る!」という言葉がでてくのでしょう。
“小さい花や大きな花、一つとして同じものはないから・・・”
 補習校の児童は生まれた国も様々、両親の国籍も異なり、平日に通っている学校も違います。
そんな様々な環境で生活をしている子ども達の授業を組み立てるのは、補習校の先生にとって、簡単ではないでしょう。日本語のレベルも、使用環境も違います。卒業生が、6年生の担任先生は勿論、1年生からの歴代の先生方にも感謝の言葉を述べていました。補習校の先生の生徒に対する声がけは本当に重要です。本当に一人一人の児童にあった声がけが必要だからです。卒業生の皆さんは、毎年担任の先生方に沢山「やる気がでる言葉」をかけてもらったんでしょうね。
“No.1にならなくてもいい、もともと特別なオンリー1”
 「オンリー1」の卒業生の皆さん、「オンリー1」の保護者の皆様、「オンリー1」の担任の先生方、本日は小学部のご卒業本当におめでとうございます。これからも「世界に一つだけのNo.1」でいてくださいね。

(バトラー・あすか)